第27回 必ずシミュレーションをしよう!

【週刊粧業2015年6月29日号6面にて掲載】

 化粧品通販事業を始める際には、事業構造やビジネスの難しさを理解するために必ずシミュレーションを行うことが大切です。特に、広告を使って顧客を獲得するビジネスモデルのため、広告投資におけるシミュレーション作りがとても重要になります。

 通販立ち上げ時は、シミュレーションに当てはめる数字自体が仮の数字となるため、シミュレーション通り事業がいくかどうかはわかりません。しかし、シミュレーション通りにいかない事を悲観するのではなく、現実と理想のギャップを知り、理想に近づけるためには、何が課題で、どのような打ち手が必要であるかを知るヒントにすれば良いのです。

 シミュレーションを作る際には、次のような数字を当てはめて行きます。①CPO(顧客獲得単価)、②定期引上率、③継続率、④離脱率、⑤商品単価、⑥予算などです。各項目の数字を自分なりに入れ替えたりしてみてください。

 このようなことを繰り返し行うことで、どの項目の数字が、どのような動きをするとどう事業に影響を与えるかといった感覚が身についてきます。結果、事業開始後に、シミュレーションとの乖離があったとしても、何が課題であるかをすぐに把握が出来、打ち手の優先順位立てにも役立ちます。

 ある化粧品を販売しているお店が、本格的に通販事業に取り組む際に、経営者自ら、何通りものミュレーション作りを行いました。しかも、エクセルなどの計算ソフトを使わず、紙と鉛筆を使い、書いては消して、消しては書くということを繰り返し行い、通販事業への理解を深め、事業を成功させるための具体的なイメージ作りを持った上で事業を開始することができました。

 通販企業A社は、事業を立ち上げればすぐにでも利益が出ると考えている経営層に、事業構造の理解を促すためにシミュレーション作りを行いました。設備投資が比較的にかからない分、どうしても容易に利益を生みだすビジネスであると見えがちです。しかし、事業構造の理解を促すことで、経営層も通販事業に真剣に取り組む姿勢を持つことができました。

 ある化粧品通販企業B社は、シミュレーションを一切行わずに事業を進めていました。そのため、何が課題であるかを自分達で全く把握できずにおりました。その結果、その時々に出てくる目の前の数字に翻弄され、場当たり的な対応をする事に時間、労力を使い根本的な解決に繋がらず、とても苦労をしていました。

 シミュレーションを作ってから事業に取り組むのか否かで、事業への取り組み方が異なってきます。また、一度作って終わりではなく、随時数字を入れ替えることにより、現状をより深く知ることができます。シミュレーションの正確さよりも、それをベースにどのような打ち手を使って事業に取り組んでいくのかを考え、行動へと導き出すためのツールとして役立ててみてはいかがでしょうか?
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船生千紗子

(株)通販総研 化粧品専門コンサルタント

通販に特化した広告代理店を経て、株式会社通販総研に入社。現在、化粧品通販新規参入支援、化粧品通販企業向けに新規顧客獲得、リピート顧客育成による売上アップ支援を行っています。クライアントの強みを伸ばし、着実な成長を促すことをモットーにしています。

https://www.tsuhan-soken.com/

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