【週刊粧業2019年4月18日号4面にて掲載】
広告による新規獲得の効率が悪くなっていく昨今、いかに自社が保有している休眠顧客リストを有効に活用していくかが重要になってきています。
しかし、やみくもに休眠顧客にDMやメールを送りさえすれば良いわけではありません。そこで、各社がどのような形で休眠顧客の掘り起しを行っているのか事例を紹介いたします。
化粧品通販会社A社は、年4回程休眠顧客に向けてDMを送っていました。実施の度に、レス率が異なり売上予想が立てにくく、施策を続けていくべきか悩んでいました。そこで、DM送付対象者のリストを細かく見ていくと1回商品を購入して休眠になった『新規休眠顧客』の割合が多い時は、費用対効果が合わず、2回以上商品を購入し、且つ未購入期間が1年半~2年以内までの『リピート休眠顧客』の割合が多い時は費用対効果が合うということがわかりました。
そこで、リストの抽出を、購入回数が多い『リピート休眠顧客』は、未購入期間を1年半まで遡り、購入回数が少ない『新規休眠顧客』は、未購入期間を半年までで抽出するようにしました。その結果、実施の度にレス率が異なるというようなことがなくなり、年間を通した施策として定着することができました。
通販会社B社は、休眠顧客を3年まで遡ってDMを送っていましたが、期待していたほどの成果を出せずにいました。そこで、分析していくと、休眠して1年以内の休眠顧客からの反応は大変良く、費用対効果が合うことがわかりました。そこで、休眠して1年以内の休眠顧客に絞って施策を実施することとしました。
休眠施策が定着しない企業では、休眠顧客をリスト分けせずに施策を行っていることをよく見かけます。購入回数や購入金額、未購入期間によって反応が異なっていきますので、はじめは、できるだけ購入回数が多く、未購入期間が短い休眠顧客リストから施策を行っていくと良いでしょう。施策と検証をくり返していく内に、費用対効果が合うか合わないかのラインを見つけていくことができます。
通販会社C社は、定期解約者に対して、まとめ売りの案内(まとめて買うと安く買える)を送っていました。ある時、定期解約者の解約の理由の多くは、商品余りであり、商品や価格に対する不満ではないことを突き止めたC社では、適切なタイミングに定期再開案内をすればまとめ売りのような形で安売りせずとも定期解約者は戻って来てくれるのではないかと考え対策を講じました。
実際、定期解約後6カ月後に定期再開案内メールを送ってみたところ、一定割合の人が定期を再開してくれたのです。価格を安くしないと戻ってこないのではないかという先入観を一度捨て、解約理由を見直すことの大切さを示唆してくれる事例と言えるでしょう。
通販事業を続けていく限り、休眠顧客リストは増え続けていきます。新規獲得の効率ばかりを追求せずに、自社の休眠顧客リストの有効活用法を探ってみてはいかがでしょうか?