第23回 ドラッグストアチェーンのアジア戦略

【週刊粧業2016年4月4日号5面にて掲載】

 今回はドラッグストアチェーンのアジア戦略についてご紹介したいと思います。

・ウエルシアホールディングス

 同社の海外事業は、中国の合弁会社「聯華毎日鈴商業(上海)有限公司」を通して上海を中心に海外店舗を出店しています。2016年までに中国で大衆薬販売に乗り出し、上海市などで化粧品や日用品を扱う店舗で販売し、日本のドラッグストアに近い品ぞろえにする予定です。出店先はイオンが展開する日系ショッピングセンターを中心に、今後3年で店舗数と売上高を現在の4倍の20店、20億円に高める方針です。

・キリン堂ホールディングス

 同社は12年12月に中国第1号店を出店しました。また、同社グループのBEAUNETCORPORATION LTDは、ソフト面であるプロデュース力とハード面である化粧品取扱量及びブランド数の多さを強みに、日本の化粧品メーカーの中国市場アクセスのプラットホーム化を推し進めています。

 15年7月には、中国最大の日用雑貨卸売市場である義烏市国際商貿城の輸入商品区画内に常設のショールームを開設しました。本ショールームでは、現地の社員が、日本の中国未進出企業や中国代理店の再構築を検討されている企業の総代理店として輸入した商品を本ショールームに展示し、現地の社員が取引先であるメーカーの意向をベースに中国国内でエリア代理店を求める業者との商談代行を実施します。今後は、グループとしての総合力を強化することで、取引先であるメーカーをサポートし、中国全土への代理店網の構築を図っていく方針です。

・ココカラファイン

 同社は東アジアでの展開を強化しています。12年から中国では100%出資の現地法人による店舗展開をスタートさせており、ロシアでもドラッグストア関連事業展開に関する基本合意を締結してロシアに合弁会社を設立している他、ベトナムでは現地企業との日本式ドラッグストア共同運営に関する覚書を締結、タイでは現地企業へのPB商品を中心とする卸事業など、将来の事業展開に向けた布石を打っています。今後はこれら各地域の拠点が連携しながら、東アジア地域での存在感を高めていくとしています。

・ツルハホールディングス

 同社は12年7月、タイに海外1号店「ツルハドラッグゲートウェイ・エカマイ店」をオープンして海外進出を果たしました。同店はタイ国で医薬品の販売許可を取得しており、薬剤師が常駐して医薬品の販売を行なっています。グループでは、タイ国内におけるドミナント展開を目指して積極的な出店を進め、バンコクを中心に現在24店舗を展開しています。
 今後は、タイ国を起点にASEAN諸国、アジア地域への多店舗展開に向けて、海外事業のさらなる推進を図る計画です。

・トモズ

 同社は親会社の住友商事が台湾でスーパーマーケットを展開する三商行と共同で設立した合弁会社を通じ、同年12月に台北市に「トモズ」の1号店をオープンし、台湾進出を果たしています。15年6月には、現在の13店から16年度に30店前後と2倍以上に増やすとしています。日系メーカーの化粧品や生活用品の人気が高く、既存店の売り上げも好調なことから、店舗網を広げて女性やビジネスマンの需要を取り込む計画です。

・マツモトキヨシホールディングス

 同社はタイの大手企業であるセントラルグループ傘下でスーパーマーケットなどを運営するセントラル・フード・リテールと協業し、14年4月からスーパー「トップス」23店でマツモトキヨシのプライベートブランド商品を販売すると同時に市場調査を本格化、15年10月にドラッグストア「マツモトキヨシ」の海外1号店をタイの首都バンコクの商業施設「セントラル・ラプラオ」にオープンしました。同社は、タイで早期に100店体制を目指しています。
この記事のお問い合わせはこちら

浅井潤司

(株)矢野経済研究所主席研究員

2000年に矢野経済研究所に入社後、主にビューティー・リラクゼーション業界の市場調査、分析業務を担当。また、調査・分析業務だけでなく、中国市場進出支援、販路開拓支援、新規事業支援、地域振興・産業振興支援などのコンサルティング業務も手がけている。

http://www.yano.co.jp/asean_india/index.php

一覧に戻る
ホーム > 連載コラム > 第23回 ドラッグストアチェーンのアジア戦略

ライブラリ・無料
ダウンロードコーナー

刊行物紹介

定期購読はこちら
お仕事紹介ナビ

アクセスランキング

  • 日間
  • 週間
  • 月間
PDF版 ダウンロード販売
化粧品マーケティング情報
調査レポート
株式会社矢野経済研究所
pagetop