【週刊粧業2020年9月21日12面にて掲載】
世界的に重要な消費市場となった中国のコスメ業界。2019年頃からオフラインの動きが活発化している。
今回は、現在人気を集める中国コスメセレクトショッについてクチコミ分析と合わせて見ていこう。
コスメ消費の主戦場はT₋MallやJD.comなどがひしめくオンラインと目されているが、実はオフライン市場では「セレクトショップ」が急拡大中だ。
しかも「SEPHORA」など従来の店舗ではない、新しいスタイルの店舗が市場を席巻している。
その代表格が「THE COLORIST」である。
同店舗の運営元は通称「KK集団」、正式名称は「広東快客電子商務有限公司」という。
「THE COLORIST」以前にも、「KK館」や「KKv」といった日本のLOFTに似たセレクトショップを運営していた。
同社は社名からわかるようにネットビジネスを得意としており、「オンライン×オフライン」のニューリテールモデルの企業として知られている。
その大ヒットブランドとなった「THE COLORIST」は、メークに特化したセレクトショップとして、一線都市から新一線都市へとその範囲を広げ、中国全土で200店舗ほど展開している。
店内の商品は、「Judydoll」や「ZEESEA」といった中国国産ブランド以外にも、19年11月には「30もの世界著名ブランドとの戦略提携締結」との報道があり、「L’ORÉAL PARIS」や日本の「CANMAKE」「KISSME」などのブランドも販売している。
そのSKUは6000を超えるといわれている。商品はすべて、店内で試すことができるのも特徴の1つだ。
中国トレンドExpress編集部では、この「THE COLORIST」に関して、Weiboのクチコミ調査を行った。
これを見ると、4位に「打卡」というキーワードが登場する。「人気スポットに行って写真を撮る」という意味のネット用語である。
実は同店舗で何よりも特徴的なのは、店名が示す通り、「カラフル」なデザインの店舗。中でも、色とりどりのメーク用スポンジが天井まで積み上げられた場所は、SNS映えするスポットとして、それらを背景にした自撮り写真が小紅書などに多数投稿されている。
中国の消費者にとって、この店に行く、そして店内で写真を撮るという行為そのものがトレンドとなっていることがわかる。
また、19位に「首家(その都市における1店舗目)」というキーワードが出現している。
Weiboや小紅書のクチコミでも、「ついに私の街にもやってきた!」といった書き込みが見られ、そこには上記の「打卡」が使われている。
さらに20位には「天堂(天国)」というキーワードも見られ、まさに美を求める若い女性の天国と化しているのである。
ちなみに15位には「平価」と、店舗内商品のリーズナブルな点も高く評価されている。
20年7月まで店舗の平均客単価は「106~200元」で、ドラッグストアに比べると若干高いものの、メーク商品に限定してみれば、平均もしくはそれ以下と捉えることができ、十分な価格競争力を有していることがわかる。
中国Z世代を惹きつけるSNS映えと商品ラインナップ、そしてお手頃価格を併せ持ったコスメのリアル店舗。
このオンライン時代に今後、どのような展開を見せるのか、注目したい。