【週刊粧業2021年8月2日10面にて掲載】
今年も上半期が過ぎ去った。お隣の中国ではコロナ以前と同等とは言えないが、消費が回復傾向を見せている。その中で日本からも注目されたのが上半期最大の商戦「618」である。今回はその618をクチコミから見ていこう。
7月初旬、トレンドExpressではオープンデータと自社クチコミ調査を合わせた「2021年618商戦レポート」を発行した。
そのレポートにおけるクチコミ分析で「618×ライブ×買った」というワードでのデータ収集を行い、ライブ視聴と購入意向が組み合わさった動向をチェックした。
クチコミされたブランドを商品カテゴリごとに分けて集計し、その比率を2020年、2021年で比較した。
それを見ると、21年は化粧品の割合が大きく伸びていることが分かる。
コロナ禍で化粧品の需要が落ち込んでいる中、世界に先んじて消費の回復をアピールしている中国市場は、化粧品業界にとっても重要な市場であり、かつその中のライブコマースチャネルへの注目度の高さがうかがえる。
「618×ライブ×買った」というワードをクチコミ集計したブランドランキングでは「ESTEE LAUDER」がトップ、「LANCOME」がそれに次ぎ、化粧品ブランドがトップ2を獲得している。
両ブランドは天猫618のコスメブランドの売上上位も占めており、その成果がライブから得ているものであることが予想できる。
またこうした部分から、欧米化粧品ブランドがライブに積極的な広告投下を行っていると考えられる。
それに続くのが「VIVO」「小米」の中国デジタルブランドである。デジタルブランドにおいては、20年には「Apple」が上位におり、主に「iPhone」の売上を伸ばしていたが、今年はそれを国産勢が追い抜いた形になっている。
両ブランドは特に若者、Z世代をターゲットにしたスマート製品を展開しており、前述のライブ視聴世代とマッチしたものと考えられる。
日本勢ではアパレルの「UNIQLO」、そしてコスメの「資生堂」に続いて、「COSMEDECORTÉ」が新たにランクインを果たし、やはりコスメブランドの勢いの強さを感じさせる。
こうしたライブ業界の中で存在を強めているが「抖音」である。
前出のレポートでは「618×ライブ」というキーワードで露出したライブプラットホームも調査している。
これを見ると、20年に比べて21年は快手、抖音のショート動画プラットホームの順位が向上していることが見て取れる。
両プラットホームは20年末ごろから自前のEC機能をベースに、商戦への本格参入を加速化している。膨大なトラフィックを利用したライブコマースを積極的に展開しており、その成果が出ていることが、今回のクチコミ調査から推測できる。
特に抖音に関しては、具体的な金額発表はないが、618期間中に配信されたライブの総時間が2852万時間に達したこと、累計で372億人が視聴し、1000万元以上のGMVを獲得したライブスペースが153あったことが公式に発表されている。
さらに抖音では、自社のECシステムである「抖音小店」での売上総合ランキングを公開している。
「Apple(iPhone)」や「The history of Whoo」「Huawei」などの有名ブランドが売上上位に名前を連ねた。
11月11日の最大商戦「ダブルイレブン」でも引き続き主力のマーケティング手法になるであろうライブコマース。そして、ECの新勢力として頭角を現した抖音。下半期はこの2つを上手く活用することが中国マーケティングのポイントになると考えられる。