連載コラム

激変するコスメマーケット

2021.12.14

第69回 マスクを外す日が待ち遠しい

執筆者:鯉渕登志子 (株)フォー・レディー代表取締役

Img cat2

【週刊粧業2021年11月08日号4面にて掲載】

 コロナ禍での生活も、もうすぐ丸2年。都内の新規感染者数も2ケタ台に減少して、ようやく収束の兆しが見えてきた。今や、靴を履くのと同じくらいあたり前にマスクを着けて外出する毎日だが、マスクを外す日は確実に近づいてきている。

 昨年の初めに着け始めた時は、あれだけうっとうしいと思っていたのに、いざ外すとなると、マスク無しの顔をさらすのが少し怖くなってきた。

 先日、美容室の大きな鏡でマスクを外した自分の顔を見た時のこと。「こんなにほうれい線が深かったかな?」「前より輪郭がゆるんでいる気がする」と、記憶の中の自分より一段と老けが目立つことにショックを受けた。

 マスク無しの自分の顔をじっくり見る機会が減ったからかもしれないが、明らかにコロナ禍生活の弊害を感じた。運動不足による体重増加、血行不良によるたるみ・むくみ、顔の表情筋の衰え、などなど……。

 また、これだけマスク生活が長く続くと、マスク姿でしか会ってない人も多くなってきた。会社では新人の顔をなかなか覚えられない。こちらもマスクを外した時に、「思っていた印象と違うなと思われたら嫌だな」などと余計なことを考えてしまう。先日久しぶりに友人たちと集まり「記念にマスクを外して写真を撮ろう」ということになったとき、皆が一斉に口元の筋肉を動かして、笑顔作りの練習をした。友人曰く「笑顔の作り方を忘れてしまったから」とのことだ。このままだと「マスクを外すためのリハビリが必要かもしれない」と思うほどだ。

 さすがにそれではまずいと思う女性たちも多いようで、「コロナ禍で変化した美容意識」など各種の調査では、スキンケアは丁寧に時間をかけて行うようになってきていることがわかる。「自宅にいることが多いので、丁寧に時間をかけてスキンケアをしている」「常にマスクをつけているため肌荒れを起こしてしまうのでしっかり保湿している」などの声が多くなってきている。ちなみにメイクは「アイメイク中心でリップは使わない」「ファンデーションやチークはマスクに付かないことが優先」になり、当然薄化粧になっている。そのため「マスクを外した時に、シミやそばかすが目立つようになってしまった」と感じる中高年世代も多く、美白のスキンケア商品も人気だ。

 またコロナ禍で売上が伸びた美容分野の一つが「ヘアケア」だ。コロナ禍以前からヘアケア分野拡大の兆しはあったが、在宅時間が多くなったことで、お風呂時間が確保できたこと、美容室に通う頻度が少なくなったことなどが影響してインバスのヘアケア商品も伸びている。

 コロナ禍の自粛生活、巣ごもり生活は、私たちに「無理をしない自然体の生活」や「免疫力を高めるための睡眠時間」、「規則正しいきちんとした生活」が大切なことを教えてくれた。健康面でも中高年世代では、運動不足解消のために散歩をする人が多くなっている。身近なところで、手軽にできるきちんとした暮らしを取り戻すことから、新たな日常生活をスタートし始めているようだ。

 コロナ禍を経て、女性たちの美容にかける時間やお金の配分、また必要なアイテムは大きく変わった。それが元に戻るには、かなり時間がかかるだろう。化粧品の売上を大きく復活させるためには、女性たちが内面の充実だけでなく、表舞台の街に戻り「キレイに見せたい」という外に向けた美容意識にも目覚めることだ。マスクを外すその日が、美容ニーズ復活の本格スタートになるだろう。

この記事のお問い合わせはこちら

プロフィール

執筆者:鯉渕登志子 (株)フォー・レディー代表取締役

1982年㈱フォー・レディーを設立。大手メーカーの業態開発や通販MD企画のほか販促物制作などを手がける。これまでかかわった企業は50社余。女性ターゲットに徹する強いポリシーで、コンセプトづくりから具体的なクリエイティブ作業を行っている。特に通販ではブランディングをあわせて表現する手腕に定評がある。日本通信販売協会など講演実績多数。

http://www.forlady.co.jp/

Img cat2

激変するコスメマーケット

2022.10.12
第78回 美容の指南役はどんな人が相応しいか?
2022.10.07
第77回 独自の美容メソッドを持とう!
2022.10.07
第76回 レガシーをどう引き継ぐか?
2022.10.07
第75回 通販化粧品の商品開発、そのコツは?
2022.10.07
第74回 シニア層に化粧品を売る前に
2022.10.07
第73回 イノベーションで国内需要を掘り起こせ
2022.10.07
第72回 アフターコロナ、デジタル越しの顔
2022.01.26
第71回 スペックではなく、目的で売る
2021.12.14
第70回 化粧品で元気になるために
2021.12.14
第69回 マスクを外す日が待ち遠しい
2021.10.05
第68回 イノベーションのチャンスが来た!
2021.08.02
第67回 お客様モニターを依頼し難い弊害
2021.06.29
第66回 コロナ禍を経験して欲しいものが変わった
2021.05.26
第65回 世代を超えた化粧品開発は可能か?
2021.04.26
第64回 第2のスター商品を作るには?
2021.04.02
第63回 「化粧品を売る」ことの意味を考えたい
2021.02.18
第62回 「好きな化粧品」だけを扱う仕事が成立するか?
2021.01.15
第61回 不要不急リストに入らず、選ばれる商品になる!
2020.11.17
第60回 コロナ禍の元でも売上を伸ばせる会社にしたい!
2020.10.27
第59回 化粧することで、何を叶えたいのか!
2020.09.08
第58回 お客様と一緒に作る『共創化粧品』を!
2020.07.22
第57回 本格的に通販の手法を取り入れる店舗販売
2020.06.08
第56回 化粧品で何ができるか、その役割を問う
2020.06.08
第55回 スモールマーケットに化粧品の未来がある
2020.06.08
第54回 ものづくりへの「こだわり」をどうするか!
2020.06.05
第53回 個性が輝く化粧品づくりをしたい
2020.01.06
第52回 「世代」に寄り添う化粧品
2019.12.02
第51回 ロングセラー化粧品を育ててみたい!
2019.12.02
第50回 お客様ファーストのモノづくりをしませんか?
2019.12.02
第49回 お客様不在の商品開発になっていませんか?
2019.12.02
第48回 もう一度考える『化粧品のモノづくり』とは!
2019.12.02
第47回 『コンセプト』で売れ
2019.12.02
第46回 参加型ブランドづくりのススメ
2019.12.02
第45回 オーダーメイド化粧品はヒットするか
2019.12.02
第44回 化粧品開発ほどイノベーションを
2019.12.02
第43回 統計のデータを見る
2019.12.02
第42回 化粧品ビジネスのスピード感!!
2019.12.02
第41回 化粧品無用論について反論したい!
2019.12.02
第40回 海外ばかりに頼っていられないのでは…?
2019.12.02
第39回 もっと化粧品に『アート』を取り入れたい!
2019.12.02
第38回 平均的なモノづくりほど面白くない!
2019.12.02
第37回 社員に愛される化粧品は売れる!
2019.12.02
第36回 化粧品の推奨使用量を守っていただくには?
2019.12.02
第35回 アクティブシニアが化粧品に熱い!
2019.12.02
第34回 化粧品メーカーのブランディングとは?
2019.12.02
第33回 化粧品はもっと楽しんで使いたい!
2019.12.02
第32回 美容時間は短い方がいいか?『時短美容』に思う
2019.12.02
第31回 もっとワクワクさせるものが必要だ?
2019.12.02
第30回 女性用育毛剤市場はこの先も拡大?
2019.12.02
第29回 成熟期の販促へ舵を切る時が来た!
2019.12.02
第28回 ますます細分化、目的別化粧品へ
2019.12.02
第27回 悩みに寄り添っているか?
2019.12.02
第26回 アドバイス力を復活させたい!
2017.01.27
第25回 「ヘアケアだって、髪タイプ別に提案を!」
2016.06.30
第24回 「化粧品も季節に合わせて使い分け!」
2016.04.26
第23回 「自社製品の愛用者であれ!」
2015.12.03
第22回 「メーカーの枠を超えた売り場の取り組みができないか?」
2015.09.18
第21回 「使用量や使用方法を正しく伝えていますか?」
2015.05.01
第20回 「シニア世代にこそ、『パーツケア』のススメ」
2015.03.11
第19回 「もっとお客様の声を、化粧品の商品開発に生かそう」
2015.01.13
第18回 「数字をうんぬんする前に、もっと大切なことがある」
2014.10.30
第17回 「新ブランド立ち上げはゴールではない!」
2014.08.08
第16回 「消費増税の特需を契機に使用量を見直してもらう」
2014.07.16
第15回 「失敗しないリニューアルとは?」
2014.05.07
第14回 「化粧品メーカーの情報発信力」
2014.03.12
第13回 「『若返り』の秘訣は、おしゃれ!」
2013.10.28
第12回 「『現場力』を磨け!」
2013.09.06
第11回 「お手入れ手順と化粧習慣」
2013.07.24
第10回 「シニア向け化粧品開発に期待したいこと」
2013.05.09
第9回 「商品開発に『生き方提案』を込めて欲しい!」
2013.03.11
第8回 「徹底して、団塊世代に絞り込む!」
2013.02.01
第7回 「『化粧暦』をつくろう!」
2012.08.28
第6回 「『ラインナップ』か『単品』か?」
2012.06.21
第5回 「お手入れを売る!」
2011.11.14
第4回 「エイジングケア商品の拡大に思う」
2011.10.10
第3回 「化粧品は『リピート客が命!』を再確認」
2011.09.12
第2回 「通販化粧品、強さの秘密!」
2011.08.23
第1回 「売れる化粧品が変わった!」

カテゴリー

化粧品通販ビジネス実践講座

執筆者:船生千紗子

(株)通販総研 化粧品専門コンサルタント

Img cat14

激変するコスメマーケット

執筆者:鯉渕登志子

(株)フォー・レディー代表取締役

Img cat2

中国クチコミ分析で探る「美」のツボ

執筆者:森下 智史

株式会社トレンドExpress 「中国トレンドExpress」編集長

%e6%a3%ae%e4%b8%8b%e6%99%ba%e5%8f%b2

化粧品のリテラシー

執筆者:島田邦男

琉球ボーテ(株) 代表取締役

Img cat10

化粧品コンサルタントが教えます 最新・ヒットの法則

執筆者:廣瀬知砂子

女性潮流研究所 所長 / 商品企画コンサルタント

Hirose face

今日から試せる! PR&販促講座

執筆者:松下令子

美容専門PR・販促支援会社 (株)DSプロモーション 代表取締役

Matsushita face

化粧品トレンドを読み解くキーワード

執筆者:松本 竜馬

TPCマーケティングリサーチ(株)マーケティングマネージャー

Img cat21

矢野経済研究所 アジア美容マーケットニュース

執筆者:浅井潤司

(株)矢野経済研究所主席研究員

Img cat9

矢野経済研究所 中国美容マーケットニュース

執筆者:浅井潤司

(株)矢野経済研究所主席研究員

Img cat9

アットコスメクチコミトレンド

執筆者:山田メユミ

株式会社アイスタイル 取締役 CQO / コーポレート領域管掌

Img cat1

榎戸淳一のエステサロン経営 地域一番店への道

執筆者:榎戸淳一

株式会社ES-ROOTS代表取締役社長、一般社団法人エステティックグランプリ元理事長

Img cat3 1

『女心』攻略データベース

執筆者:中村浩子

(株)ヴィーナスプロジェクト代表取締役社長

Img cat

アジア美容リアルレポート

執筆者:沖野真紀

中国女性市場専門調査会社 (株)ブルームス代表取締役

Img cat11

中国美容リアルレポート

執筆者:沖野真紀

中国女性市場専門調査会社 (株)ブルームス代表取締役

Img cat11

化粧品・日用品業界の商標・ブランド戦略相談室

執筆者:髙橋 伸也

フルブルーム国際商標事務所 所長弁理士

Img cat20

流通記者50年「経営トップとの交流の中で」

執筆者:加藤英夫

週刊粧業 顧問(週刊粧業 流通ジャーナル 前会長)

Img cat27

新日本有限責任監査法人 公認会計士から見た化粧品・トイレタリー業界

執筆者:田中計士

新日本有限責任監査法人 シニアマネージャー

Img cat7

新日本有限責任監査法人 不正事例に学べ!

執筆者:田中計士

新日本有限責任監査法人 シニアマネージャー

Img cat7

創業原点を未来へ託す

執筆者:川原慎也

(株)船井総合研究所 東京経営支援本部 部長 グループマネージャー

Img cat8

Eコマースに見る中国化粧品マーケットの今

執筆者:斉晶岩(サイ ショウガン)

LAFASO JAPAN 代表取締役社長

Img cat13

韓国ビューティーマーケット最前線

執筆者:吉田武史

吉田法務事務所代表、日本薬事法務学会理事長

Img cat4

消費動向から斬り込むマーケティング戦略

執筆者:大神賢一郎

産業能率大学総合研究所主席研究員

Img cat6

消費者視点の「買われ方・選ばれ方」

執筆者:野澤 太郎

(株)ネオマーケティング ビューティ&ライフチーム マネージャー

%e3%83%8d%e3%82%aa%e3%83%9e%e3%83%bc%e3%82%b1%e3%83%86%e3%82%a3%e3%83%b3%e3%82%b0

SNSで売上拡大 コスメ業界の新販促手法

執筆者:岡崎佑紀

(株)ホットリンク ソーシャルメディア事業本部 コンサルティング部

Img cat26

アクセスランキング

  1. 1位 5月26日 17時30分
    アユーラ ビューティー帝国ホテル店...
  2. 2位 5月26日 17時00分
    花王、Z世代男子の肌悩みと肌特徴に...
  3. 3位 5月26日 14時00分
    資生堂、ミトコンドリア代謝抑制によ...
  4. 4位 5月26日 12時00分
    資生堂ジャパン、資生堂薬品の薬品事...
  5. 5位 5月26日 11時00分
    ロート製薬、独自プログラム「メディ...
  6. 6位 5月25日 12時00分
    資生堂、「クレ・ド・ポー ボーテ ...
  7. 7位 5月25日 11時00分
    花王、「スイサイ」の酵素洗顔パウダ...
  8. 8位 5月24日 10時00分
    資生堂、加齢で真皮が薄くなる現象を...
  9. 9位 5月25日 10時00分
    花王、「キュレル 潤侵保湿 化粧水...
  10. 10位 5月24日 13時00分
    CITE JAPAN2023、コロ...
  1. 1位 5月23日 15時30分
    花王、プラ容器の目標実現に向けたロ...
  2. 2位 5月22日 13時00分
    メナード、幹細胞による肌の再生が始...
  3. 3位 4月17日 15時00分
    【週刊粧業選定】優良化粧品OEM/...
  4. 4位 5月19日 11時00分
    資生堂グループ、人事異動(2023...
  5. 5位 5月24日 10時00分
    資生堂、加齢で真皮が薄くなる現象を...
  6. 6位 5月25日 12時00分
    資生堂、「クレ・ド・ポー ボーテ ...
  7. 7位 5月24日 13時00分
    CITE JAPAN2023、コロ...
  8. 8位 5月25日 11時00分
    花王、「スイサイ」の酵素洗顔パウダ...
  9. 9位 5月22日 15時00分
    あらた、新中計で2026年3月期に...
  10. 10位 5月25日 10時00分
    花王、「キュレル 潤侵保湿 化粧水...
  1. 1位 4月27日 11時00分
    花王、新発想の日やけ止めが発売2カ...
  2. 2位 5月2日 13時00分
    サティス製薬、第2の皮膚形成技術を開発
  3. 3位 4月17日 15時00分
    【週刊粧業選定】優良化粧品OEM/...
  4. 4位 4月27日 12時00分
    ウエルシアHD、新中計で既存事業の...
  5. 5位 8月4日 10時00分
    小林製薬、顔に使えるアットノンが若...
  6. 6位 5月10日 15時00分
    イオン、首都圏SM1兆円構想が前進
  7. 7位 5月2日 14時00分
    (一社)日本化粧品専門店協会・Co...
  8. 8位 4月20日 12時00分
    セブン&アイHD、金融事業を再編し...
  9. 9位 2月17日 14時00分
    コーセー、大谷翔平選手を起用し大型...
  10. 10位 4月27日 10時00分
    OUVEA MARKET、化粧品か...

Sub tit market

Sub img market

週刊粧業/C&Tを一部から。今すぐ欲しい!今回だけ欲しい!そんなご要望にお応えし、一部毎にダウンロード販売でご提供致します。

週刊粧業マーケットへ

化粧品業界に従事される皆様のビジネスチャンスをつなぐ製造依頼サイト。優れた化粧品業界のパートナーをすばやく見つけていただくことができます。

くわしくはこちら

マーケティング情報

マーケティング/商品企画/プロモーション担当の企画業務を支援する情報が満載。Power PointのPDF版では記事フローチャートで情報整理しご提供。

お役立ちマーケティング情報ページへ

調査レポート

毎年、週刊粧業が行う調査結果レポート総計をCD-Romにて販売。非常に利用価値が高く、化粧品業界の企業戦略には欠かせない知的コンテンツ。>
有料(1コンテンツ CD-Rom)
50,000円(税込、送料込)~
※Windows版のみ

週刊粧業 消費者調査データの購入はこちら

ネットリサーチ大手、クロス・マーケティングが最新のトレンドをまとめた一般向けには公表していない自主調査レポートを無料でダウンロードできます。

クロス・マーケティング 消費者調査データ(閲覧無料)

カスタマーコミュニケーションズ

全国のドラッグストア、スーパーマーケットの
ID-POSデータから市場トレンドを気軽にチェック。個数ランキング上位10商品の市場シェア(個数)とリピート率をご覧いただけます。

データ

レシートシェアランキングカテゴリ

Sub tit asia

アジア化粧品市場を捉えたアジア進出支援プログラム

アジア化粧品市場を捉えたアジア進出支援プログラムでは、ASEANや北東アジアなどへの進出を考える化粧品メーカーを後押しすべく、様々なコンテンツを用意しています。

ページの先頭へ