【週刊粧業2022年4月25日4面にて掲載】
年々オシャレになっていく中国の消費者。スキンケアやメイクアップはもちろんながら、ヘアスタイルにも非常に強いこだわりを見せつつある。今回は中国の消費者がどのようにヘアスタイルを選んでいるのかについて、SNSのクチコミから考察したい。
トレンドExpressでは、ウェイボー上で中国語のヘアスタイルを意味する「髪型」というキーワードに関連するクチコミを収集、分析を行った。
直近の12カ月間(21年4月~22年3月、表参照)で、月平均で13万5000件ものクチコミがあり、中国消費者にとってヘアスタイルは関心の高い話題となっている。
興味深いのは、そのクチコミの頻出キーワードである。
クチコミの中身を見てみると、「ヘアスタイリスト」や「スタイリング」といったキーワードを差し置いて、「動画」が2番目に多いキーワードとなっていた。
今回の調査では同時に「髪型×参考」と掛け合せたクチコミについても分析を行ったが、こちらでも「動画」というワードが上位だった。
現代の中国消費者にとっては、髪型はヘアスタイリストなど専門家に尋ねるより、まず関連動画を調べて、それを参考にするという姿が浮かびあがってくる。
中国の女性から絶大な人気を得ており、中国版インスタグラムとも言われるSNS「小紅書(RED)」、さらには「抖音(中国国内版Tik Tok)」では、髪型参考用の動画やヘアスタイリング方法の動画が数多く上げられている。
こうした動画は個人(多くは女性)が自分のヘアスタイリング方法を紹介するものと、ヘアサロンもしくはヘアスタイリストが店舗や個人のPRのために事例を紹介するものが混在している状況である。
ある中国在住の大学生に話を聞いたところ、動画の良いところは、自身に似合う髪型を選べるだけではなく、そのスタイリングの過程を詳しく知ることができることにあり、正面しか見られない写真よりも実用的だという。
こうした髪型づくりのための便利アイテムがドライヤーである。
特に「カールドライヤー(巻髪棒)」は、20年の新型コロナによる移動制限期では、自宅での気分転換アイテムとして人気となった。
今回はこの「カールドライヤー」のクチコミも分析した。
結果を見ると、月平均で9000件を超える投稿が見られ、一定のニーズを保っていることが窺い知れる。
クチコミの印象では、単純に髪を巻くだけではなく、ストレートヘアを作る「ストレートドライヤー」など、複数の機能が備わる「兼用型」が好まれるようだ。
また「マイナスイオン」というキーワードもあり、ドライヤーを使うことで髪型を整えるだけではなく、髪質やツヤの向上などの効果も求めていることがわかる。
さらに興味深いのは「韓国」というキーワードだ。人気K‐POPアイドル「BLACKPINK」のメンバーにしてモデルとしても活躍する「LISA」もランキングに上がっている。実は「髪型」においても、韓流の影響は強いようだ。
実際に前出の小紅書で「髪型」を検索すると、「韓系」というセグメントが表示される。
このように人気SNSでセグメント化されるようになると、関連投稿も集まり、より大きなムーブメントへとつながるケースがこれまでにあった。それで言うと、韓流は中国のヘアスタイリング市場においても頭角を現しているといえそうだ。
日本にもヘアスタイルに関する商材は数多くある。中国展開を考えるのであれば、SNS上での動画活用、そして中国で受け入れられるファッションリーダーの起用施策がカギとなりそうだ。