【週刊粧業2023年12月11日号5面にて掲載】
サステナブル先進国であるヨーロッパでは、欧州委員会が中心となり様々なサステナビリティ戦略、グリーン戦略が提唱されている。産業構造においても、かねてから自然資本が中心に産業が形成されており、それを支えている。
前回(第3回)で述べた海洋プラスチック問題解決のため、欧州委員会は、マイクロプラスチックを意図的に添加した消費財の販売を禁止すると発表した。
人工芝に使用する粒状の充填剤や、マイクロビーズなどを含む化粧品、洗剤、柔軟剤、玩具など幅広い製品が対象となり、欧州委員会では本規制により約50万トンのマイクロプラスチックの環境流出を防ぐことを目標としている。
プラスチック容器はもちろんのこと、化粧品製品中に含まれるプラスチック原料は、機能性を高めるためのある種のイノベーションではあったが、プラスチック問題が浮上してから、プラスチック容器以外で製品中にすでにマイクロプラスチック様原料が配合されている製品への注意喚起が始まった。
いわゆる製品自体の河川・海洋流出だけでなく、産業および家庭での使用・排水などにおいて、マイクロプラスチックが流出される危険性があり、問題の根本的解決を目指すための規制になるだろう。
2024年の国連によるプラスチック汚染に関する具体的な枠組みが制定される前に、欧州内で販売禁止が決まった。これにより、マイクロプラスチックが含まれる日本原産ブランド製品のヨーロッパ向け輸出は、注意が必要となる。
このほかに、グリーンウォッシュについても規制が進むと予想される。グリーンウォッシュとは、明確なエビデンスがないのにあたかも環境配慮であることをうたうことであり、トレードオフもこれに含まれる。サステナブル先進国でもグリーンウォッシュやSDGsウォッシュはいまだ存在し、これについても規制が始まる。
昨年、欧州委員会で「グリーン」のアピールを行う際、明確なエビデンスが必要となり、その基準が「認証」になるといった内容が起草された。
現時点では、日本ではこのようなウォッシュに関する規制がないが、日本国内で多くの海外ブランドが流通していることもあり、日本国内でも「グリーン」・「環境に配慮した」などの訴求において、欧州と同じように認証が基準となりえる。
日本国内では、認証自体の認知度がかなり低く、それ自体でサステナブルなアピールにはなっていないが、認証への取り組みや市場へのアピールが日本国内でも重要な視点となってくるだろう。
このような欧州規制は、次々と新しいものが発表され、日本に定着した時にはすでに古くなってしまう場合がある。常にアンテナをはり、日本でふさわしい施策や規制が求められる。