【週刊粧業2024年5月27日号9面にて掲載】
化粧品産業で循環経済を達成するためには、前回述べた化粧品パッケージの循環だけでなく、産業全体の循環を目指すのが理想だ。しかし、化粧品産業における産業全体の循環は、国内では非常に難しく、筆者も大きな課題と捉えている。
化粧品産業における産業全体の循環についての基本要素として、一番にサプライチェーンの問題がある。循環経済については、やはり地産地消の要素が強く、原料生産から廃棄まで一貫でみられるのが通例だ。日本の化粧品市場では、原料や製品自体も輸入に多くを頼っていることから、原料生産において循環が非常に難しい。そのため、企業がパッケージ戦略のみに寄りやすい傾向にある。
もちろん国産原料のみで産業活動を行っている企業もあるが、原料の多様性や新規性、希少性などを考えると海外原料を使用せざるを得ない。本来なら、原料原産国ですべて製造され、消費・廃棄までされることが理想ではあるが、このあたりが化粧品をはじめとする加工産業の課題である。
製品になった状態での輸入プロセスでは、CO₂排出抑制などを考慮して、持続可能な方法で日本国内に輸送されることが求められる。この工程以降では、日本国内でも持続可能な手法をとりやすくなる。外資系大手のロレアル社でも、国内輸入時にCO₂排出をモニタリングするなど、脱炭素に向けた取り組みを行っている。
消費・廃棄の部分では、企業の取り組みとしてパッケージ戦略が多く目立つ。しかし、サステナブルパッケージの真髄を重視し、プラスチックの循環だけにならない手法が求められる。
国内原料のみで生産活動行っている企業においては、地域間の輸送を可能な限り最小化できれば、循環経済につながっていく可能性がある。海外などでは、サプライヤーを集約してその集約拠点にて製品製造までを行うなど、グリーンサプライチェーンについて徹底している企業がある。これまでの日本国内の化粧品開発および商流で、これらがどこまでできるのかが大きな課題となる。また、海外原料および海外生産の製品については、どのように循環経済を達成するかを企業が発信していくことが望ましい。
化粧品の製造ではないが、大手ファンケル社は早くから同社が扱う健康飲料に使用する野菜の搾りかすをアップサイクルして、同社の農場の牛の飼料として採用し、その飼料で育った牛の乳をまた別の製品の原料として加工するなど、企業内での循環を達成しているのは注目すべき点だ。化粧品製造では限りがあるかもしれないが、化粧品でも達成できるとより良い。
化粧品のみならず、循環経済を達成するためには、まずは、サステナブルサプライチェーンの構築が必要になるのではないだろうか。
もちろん国産原料のみで産業活動を行っている企業もあるが、原料の多様性や新規性、希少性などを考えると海外原料を使用せざるを得ない。本来なら、原料原産国ですべて製造され、消費・廃棄までされることが理想ではあるが、このあたりが化粧品をはじめとする加工産業の課題である。
製品になった状態での輸入プロセスでは、CO₂排出抑制などを考慮して、持続可能な方法で日本国内に輸送されることが求められる。この工程以降では、日本国内でも持続可能な手法をとりやすくなる。外資系大手のロレアル社でも、国内輸入時にCO₂排出をモニタリングするなど、脱炭素に向けた取り組みを行っている。
消費・廃棄の部分では、企業の取り組みとしてパッケージ戦略が多く目立つ。しかし、サステナブルパッケージの真髄を重視し、プラスチックの循環だけにならない手法が求められる。
国内原料のみで生産活動行っている企業においては、地域間の輸送を可能な限り最小化できれば、循環経済につながっていく可能性がある。海外などでは、サプライヤーを集約してその集約拠点にて製品製造までを行うなど、グリーンサプライチェーンについて徹底している企業がある。これまでの日本国内の化粧品開発および商流で、これらがどこまでできるのかが大きな課題となる。また、海外原料および海外生産の製品については、どのように循環経済を達成するかを企業が発信していくことが望ましい。
化粧品の製造ではないが、大手ファンケル社は早くから同社が扱う健康飲料に使用する野菜の搾りかすをアップサイクルして、同社の農場の牛の飼料として採用し、その飼料で育った牛の乳をまた別の製品の原料として加工するなど、企業内での循環を達成しているのは注目すべき点だ。化粧品製造では限りがあるかもしれないが、化粧品でも達成できるとより良い。
化粧品のみならず、循環経済を達成するためには、まずは、サステナブルサプライチェーンの構築が必要になるのではないだろうか。
長井美有紀
日本サステナブル化粧品振興機構 代表理事
化粧品業界に長く、早くから「環境×化粧品」を提唱。業界・企業・一般に化粧品の環境・社会課題について解く。サステナブル美容の専門家としても活躍し、主に生物多様性と産業について研究。講演や執筆、大学での講義などで幅広く活躍。
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