粧業日報
資生堂は、銀座並木通りにある本社社屋(2013年秋竣工予定)の建て替えにあたり、緑化による地域の生態系と調和のとれたビル設計と、銀座地区への地域貢献を目的として、銀座周辺の緑地で生きもの(鳥類・昆虫類)の生態調査(調査協力:竹中工務店、地域環境計画)を実施した。
大都市では緑地どうしが孤立してしまい、大緑地と別の大緑地との間、大緑地と周辺の小緑地との間で生きものの移動が制限されていることが多い。本社ビルに計画されている屋上緑化が、生きものにとっての緑地間ネットワークを創出する一歩となれば、将来的には銀座全体が「生物多様性に配慮した街づくり」へ向かう可能性もあるため、それを探るため、銀座周辺の大小の緑地で生きものの現状を調べた。
その結果、銀座地区では生きものの種類・個体数が少ない状況であることが確認された一方、近隣の日比谷公園や浜離宮庭園といった大緑地では生きものが多数存在し、繁殖や採餌行動が確認された。このことから、本社社屋の屋上緑化が鳥類や昆虫類の中継地となり、生物多様性に配慮した街づくりに貢献できる可能性があることがわかった。
同社では今回の調査結果を踏まえ、本社社屋の屋上緑化にあたって生きものが好む環境を整備するとともに、同社ウェブサイトに全文を掲載し多様な生きものが共生する街づくりに貢献することを検討していく。
〈調査概要〉
期間=鳥類は2011年5、6、9月と2012年1月、昆虫類は2011年5、6、7、9月▽場所=本社ビル周辺1.5km以内にある緑地(首都高速緑地、聖路加国際病院周辺緑地、朝日新聞社前広場、浜離宮庭園、日比谷公園、国会前庭、愛宕神社周辺緑地)と緑地間を結ぶ街路樹が多い道路▽方法=調査員が時速2km程度でゆっくり歩き、目視で確認された鳥類・昆虫類の種名・個体数・行動を調査▽結果=日比谷公園、浜離宮庭園においては鳥類・昆虫類の繁殖や採餌が確認されたが、それ以外の緑地では生きものが繁殖するための環境が少なく、日比谷公園や浜離宮庭園が周辺地域に生きものを拡散させる拠点となっていることがわかった。▽注目に値する生きもの=メジロ、カワセミ、センダイムシクイ、キビタキ(以上鳥類)、コムラサキ(昆虫)等
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この記事は粧業日報 掲載
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