HRK・岩本初恵社長、病魔に打ち勝った女手で年商100億円到達

C&T 2013年3月15日号 68ページ

カンタンに言うと

HRK・岩本初恵社長、病魔に打ち勝った女手で年商100億円到達

 災い転じて福――。先達が残した珠玉の言葉は、やはり多くの事実が紡いだ真理を表現しているのかもしれない。

 独創性と成長力を兼ね備えた通販会社が多い福岡県にまた1社、売上規模で100億円を超える企業が誕生した。基礎化粧品や健康食品のほか下着を展開しているHRK(本社=福岡県筑紫郡)は、創業者の岩本初恵氏が病気を克服する過程で健康志向に目覚めたことを出発点に、1998年に1人で立ち上げた前身エイチ・アール・ケイ・ハルカの売上高を2012年9月期に100億円台に到達させている。

 起業と成長の背景には、独立開業者として明暗ともに噛み締めた岩本氏が、会社経営に転じて周囲を巻き込んだ一種の「人生劇場」が見える。

 

「とにかく健康になりたい」と渇望

病が引き寄せたともいえる新しい人生

 

 ――1998年、どのような将来像を掲げて貴社を立ち上げたのですか。

 岩本 私自身が会社を作ろうと思ったことは一度もない。

 かつて病気を患い、処方される薬がどんどん増えることに抗って「どうにかして健康になりたい」と願う中、自分の身体を使っていろいろな研究をしてみた。

 そうして願望を叶えた経験を「第二の人生」と名付けた本にまとめ、しばらくの間知り合いに「悩んでいたらやってみて」と配り歩いた。いってみたら趣味だが、これがHRKの出発点ということになる。

 私は高校を卒業するとすぐにダイエーに就職した。ところが、半年もすると「自分で何かをやりたい」と志してスナックを開業した。父とは「(店主が)酒を飲まない店としてやること」を約束したことから、一滴も飲まずに今日まできている。

 未経験にもかかわらず、お陰さまで店は早々に流行った。店主が飲まないから「大袈裟に料金を取られる心配がない」という評判が生まれたほか、来店すると「ストレスがとれる」などの声でお客様がお客様を呼び、先々まで予約でいっぱいなるほど繁盛した。

 掃除や仕込みから接客まで1人でこなしていたが、やがて子供が生まれると睡眠不足が原因で自律神経失調症を患った。最初はそんな自覚は無かったが、病院へ行くと医師にそう診断された。胃薬、便秘薬、肝臓の薬と、私の疑問をよそにどんどんと薬が増えていく頃、十数年も続いた店を閉じる決断をするしかなかった。

 薬に頼りきる方法を最善と思えなかった私は、自分自身でいろいろと調べることを始めた。すると、私の場合は冷え症を克服することが一番に大切という仮説にたどり着いた。根源を断たないことには、体調どころかお通じもシミも改善しないと気づいた。

 足は“第2の心臓”といわれていることから、足を冷やさないため既成品のストッキングを買い集めて片っ端から使ってみた。それでも、私が望んだ歩くたびにマッサージ効果が得られる「段階式」の製品は無く、これはオーダーしかないと分かった。

 求めるストッキングを実現するため、依頼先探しでは直接足を運んで相手さまに要望を伝えた。沖縄や長崎など、約1年間を費やして四十数社の工場を歩き回った。ただ、反応は「段階式は作れない」という技術的な問題や、「個人を相手にできない」とする契約上の壁や、生産量もネックになって理解者に出会えなかった。

 そうするうち、現取引先であるメーカーが「やってみましょう」と快諾してくれた。私の熱意にほだされ「100枚でも作ってみましょう」と、1年がかりで生産者探しの旅がゴールに達した。この時の感謝を忘れないから、当社は縁のあった業者さんを入れ替えないようにしている。

 自分のために作ったストッキングを同じ悩みを持つ知り合いに譲ると、評判が紹介を生んで独り歩きを始めた。頼まれて譲ることを重ねるうち、思いがけずビジネスのようになっていた。

 1人で行う生産依頼や発送作業を見かねた銀行さんに、ある時「会社にした方がいいですよ」と促された。こうして1998年にまるっきり1人で会社を立ち上げた。2年後、「商売になるかも」と感じるまで1人だった。

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