日光ケミカルズは、環境配慮型の新製品として、天然由来の1,3-ブチレングリコール「BRONTIDE SKY」を提案する。遺伝子組み換えをしていない植物(トウモロコシ、コムギ)から得られた糖を原料にした革新的な発酵プロセスにより製造された高純度の1,3-ブチレングリコールである。
一般的な石油由来1,3-ブチレングリコールは、有害なアセトアルデヒドを経由し、多くのプロセスを経て製造するが、同品は、「発酵」と「精製」だけのサステナブルかつ非常にシンプルな製法となっている(図1)。
「発酵」では、ワインやビールを作るのと同様に、小さな微生物が糖を1,3-ブチレングリコールに変える。「精製」では、発酵によってできた1,3-ブチレングリコールを、ろ過と蒸留によって精製し、微生物やその副産物を除去している。
なお、こうした革新的な製造方法により、石油由来の1,3-ブチレングリコールと比較して、地球温暖化係数(Global Warming Potential)を低減することが確認できたという(図2)。
本製品は皮膚に対する安全性も十分に確認している。ヒトRIPT試験を実施、刺激やアレルギー性がないことが確認できた。
また、感触や保湿性など、性能や品質に関しては従来の石油由来の1,3-ブチレングリコールと変わらないため、石油由来の1,3-ブチレングリコールからの切り替えにおける心配も少ないといえるだろう。
また、静菌効果が高いため防腐剤の使用を抑えることができる。さらに、光沢感やすべり性をもち、グリセリンやプロパンジオールと比較してべたつきが少ないことも特徴の1つである。
同品は、米国カリフォルニア州に拠点を置くバイオテクノロジー企業であるGenomatica社が製造販売を行っている。既存品として「BRONTIDE」があったが、日本市場では基剤臭がネックになることから、日光ケミカルズの提案により、新たに「精製」の工程を加えて、においを低減した製品「BRONTIDE SKY」が開発された。現在、この「同 SKY」を日光ケミカルズが日本市場で拡販を進めている。
なお、Genomatica社においては、化粧品やニュートリション、プラスチックに使用される化石燃料由来の製品をサステナブルなものへ代替するため、バイオテクノロジーによる製品開発と販売を行っている。
CITE JAPAN2023では6品の新原料を紹介したが、同品についてもイチオシの新製品の1つとして、パネルやパンフレットでの紹介はもちろん、ブース内でGenomatica社によるミニセミナーも行われた。近年、石油由来原料代替品のニーズが高まっているため、同品は石油由来1,3-ブチレングリコールの代替品として注目を集めた。
「日本でも環境にやさしい製造方法を採用した原料やアップサイクル原料の提案が盛んに行われているが、海外と比べるとまだまだ原料としての性能を重視する傾向にあるように思う。一方で、企業の姿勢を示したり、企業としての価値を向上させる上で、サステナブルな取り組みは最重要項目の1つであるといえるだろう。BRONTIDE SKYは環境配慮型でありながらも、化粧品や医薬部外品用の原料としてのパフォーマンスや規格は従来の石油由来1,3-ブチレングリコールと変わらず、精製によって基剤臭も低減できている。このため脱石油由来の原料だけで構成された化粧品や医薬部外品の開発や、石油由来1,3-ブチレングリコールの置き換えの際には、ぜひご検討いただきたい」(同社)