新日本製薬は、コロナ禍で新たな市場開拓を進めている化粧品や健康食品の育成ブランドが好調に推移している。2023年9月期決算は、売上高が前期比4.3%増の376億5300万円、営業利益が6.6%増の37億5400万円、経常利益が6.7%増の37億2100万円、当期純利益が1.6%増の23億9400万円の増収増益だった。
主力の「パーフェクトワン」では3ステップ提案によるクロスセルが堅調に推移し、既存事業と新規事業の歯車も噛み合ってきている。
後藤孝洋社長は、中期経営計画「VISION2025」の達成に向けて、育成ブランドのさらなる強化とグローバル展開の加速を重点課題に挙げ、成長投資を進める考えを示している。
中期経営計画の達成へ課題を明確化、
海外は新市場での販路拡大に意欲
――2023年9月期を振り返ってみてどのような1年でしたか。
後藤 ポジティブに捉えれば上々の出来と言えるが、計画に対して売上がわずかに届かなかったなどいくつか課題を残し、ハッピーエンドな結果ではなかった。
野球に例えるなら、レギュラーシーズンで優勝したが、クライマックスシリーズでは優勝を逃してしまった。そんな感覚に近いと思う。
――少し厳しい見方のように感じますが。
後藤 そう感じるのは、コロナ関連の影響を言い訳にできるような空気感が広がったからではないか。ありがたいことに、コロナ禍で頑張っていますねと声をかけていただくことも多いが、やはり会社として計画に対する評価を重視しなければいけないと考えている。
――計画未達の部分では、やはり海外でもうひと伸び欲しかったところでしょうか。
後藤 海外は中国が計画に対して進捗に遅れが出てしまった。中期経営計画では海外の売上構成比を2ケタに乗せることを目標に掲げているため、立て直しが必要であると考えている。
――海外戦略では、新たな一手として2023年7月に米国子会社(PERFECT ONE US Co.,Ltd.)を設立されました。
後藤 海外は成長機会とカントリーリスクを考慮し、東アジア以外にも視野を広げて事業拡大を図っていく。来期から北米とASEANでの販路拡大を目指し、グローバル展開を加速させていきたい。
北米では、現地リサーチを進めてきた中で、当社が国内で確立した持続可能なビジネスモデルが通用すると判断できた。
まずは主力の「パーフェクトワン」で市場開拓を進めるが、ミレニアル世代の獲得に成功している「パーフェクトワンフォーカス」(以下、フォーカス)など育成ブランドにもチャンスがあるとみている。
また、ASEANでの販売も強化する。ライブコマースを中心に市場開拓を進めているが、シンガポールではオンラインとオフラインの双方で認知拡大に向けた取り組みもスタートしている。今後も国や地域ごとに成長機会を見極めながら、事例をコツコツ積み上げていくことになる。