【企業研究】大山、化粧品卸として旬の商材で付加価値流通創造

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【企業研究】大山、化粧品卸として旬の商材で付加価値流通創造

 大山では2012年2月1日に圡屋雅之氏が社長に就任し、化粧品に特化した卸として様々な角度から小売店の“美”の売場づくりをサポートしてきた。国内ブランドにとどまらず、「アグリー」「サリーハンセン」「バーツビーズ」など海外の有力ブランドを積極的に導入して流通の期待に応えてきた。同時に高齢化社会を踏まえた品揃えにも着目している。圡屋氏に今後の戦略を語ってもらった。

ヒットに恵まれた前期は9%増達成
国内外向けに「KIRAAN」新導入

 2012年10月期は増収増益で終了し、前年比9%増の153億円を達成した。

 img1823_2.jpg「バーツビーズ」の1店舗あたりの売上げが増加したことや、ノンシリコンシャンプーなどのヒットが売上増の原動力となった。

 「『バーツビーズ』では車内広告や街頭サンプリングを展開することでブランド認知度を高め、愛用者を増やすことができた。以前は海外で購入する人が多かったが、今ではバラエティストアなどで買い求める人が多くなった。4月に口紅の新色が加わる」

 配荷店は約3000店舗。バラエティストアではフルアイテムを基本とし、ドラッグストアでは売れ筋に絞り込んだところが多い。今後は百貨店への導入も目指す。スキンケアはコーナー展開している約100店舗に導入しており、今春に美白ライン「デイジーホワイト」を導入した。日本人の肌で臨床データをとり、アジア人向けに開発したシリーズだ。9月に価格改定を実施したシャンプーはトレンドであるノンシリコン処方で、現在、拡販を進めている。

 本国からの要望を受け、得意先の理解を得ながら、年内に直営店を数店オープンする計画だ。

 話題の韓国コスメも取り扱いが豊富で、「トニモリ」は単品展開も含めて取扱店を増やしていく。

 「新たな発想を取り入れた韓国コスメがどんどん出てきている。『トニモリ』はこれから新作が続々登場し、ドラッグストア向けの商材も増えそうだ。バラエティストアを中心に300店舗まで導入が進んだ。4月にCCクリームを発売するが、本国ではこのカテゴリーの代表格を目指しているので期待している」

 「シャラシャラ」はブランド展開を重視し、最大で500店舗を目安とする。

 ロングセラーを続ける「アグリー」「サリーハンセン」は一般消費者への認知度を高めるべく、広告宣伝活動を展開する予定だ。

 同時に、涙袋をつくるテープとしてヒット中の「mejutu(目術)リアルタンク」のような旬の商材もタイムリーに取り入れている。

 img1823_3.jpg去る2月、双子のモデルAMIAYAと共同開発したメークブランド「KIRAAN」の第一弾として「マジックライナー」(全5色各1500円)を発売した。ヨーロッパから取り寄せた大きめサイズのラメを配合し、インパクトのある目元を演出する。

 「日本ではAMIAYAのオリジナルブランド『ジュエティ』ショップとプラザのみで販売し、海外のドラッグストアやバラエティショップ約2000店舗への導入を目指す。今期に追加アイテムを発売する」

 img1823_4.jpgさらに、1月末に分包タイプの入浴剤「薬用風呂」(医薬部外品、全4種各40g200円)を発売した。開発に1年を費やした本格的な薬用入浴剤で、処方箋の薬袋をイメージしたデザインに仕上げた。通年商材としてじっくり育成する構えだ。

 昨年導入し、好評を博しているのがジェルネールブランド「ジェリスト」である。特殊なLEDライトを照射するとわずか10秒でジェルが固まる。専用のカラージェルは12色までカラーバリエーションが増えた。

 アイテム別取扱構成比は単品メーク30%、ブランドメーク30%、スキンケア20%、化粧雑貨20%。マスカラ、ネール、リップスティックといったポイントメークの取扱いが豊富だ。

チェーン特性踏まえた商材提供
SMDが売場の成功事例を発信

 卸売事業では、ナショナルチェーンとの信頼を高めると同時に、地域密着型店舗のサポートも行う。

 地域密着型店舗では狭小商圏に対応した売場づくりが求められる。そのようなニーズを踏まえ、「新たなカテゴリーにも目を向けていかなくてはならない。例えば老眼鏡。オフィスや自宅に常備する人が多いので、デザインがよくてリーズナブル価格のものなら興味を持ってもらえそうだ」と語る。

 ナショナルブランドはマスブランドを大量に流通できるのが強みだ。一方、店舗の棲み分けができるローカルチェーン同士なら互いに販売データの共有化が可能であり、そこから新たな施策を生み出せることもあるだろう。

 化粧品卸として、中堅ブランドの育成にも余念がない。製造設備を持ち、ある程度の量産が可能なメーカーの商品を小売店のニーズに合わせて提案する。次にどのような商品をつくればよいのか、互いに知恵を出し合い、フェースをとっていく。ナショナルチェーン、ローカルチェーンぞれぞれの役割を踏まえ「ネットでは表現できない付加価値を演出し、消費者に楽しんでもらえる化粧品売場づくりをサポートしていきたい」という。

 売場提案を専門とする部署「SMD」(ストアマーチャンダイジング)では若手社員が中心となり、小売店約200店舗を廻り、売場提案活動を展開している。単価が下落傾向にあるセルフ化粧品売場で、旬の利益商材を提案して売上げに貢献するなど、その活動は小売店から高い評価を受けている。化粧品に注目している店舗は多く、今度は、SMDが手掛けた成功事例を取引先により効率的に伝える手法を構築していく。

 「卸の存在意義は、バラエティ、ローカル、ナショナルそれぞれに適したやり方で売場提案ができること。そのためには、新ブランドの育成が不可欠であり、いくつかのブランドと交渉を進めている。晩秋には新ブランドを紹介できそうだ。今期(2013年10月期)は155億円を目指す」

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