西武百貨店所沢店では2012年4月に正社員の9割を女性にするという斬新な取り組みを開始した。
店長、販売部長、商品管理まで女性社員が担当し、化粧品売場では係長および販売リーダー(係長代行)を女性が担う。
今回、化粧品売場の戦略をうかがった黒坂曜子販売部販売一課アクセサリー/化粧品係係長はちょうどそのスタート時期に同店に着任した。
この2年半ほどで「女性同士なので意見が言いやすくなり、そこから派生して企画になりやすくなった」と、女性主導型による成果を上げている。
女性主導で様々な企画を実現
昨秋にイグニスをコーナー化
女性社員の比率が増えたことで館全体における買い回り意識が高まり、婦人服のフロアなどで互いに送客し合う企画が格段に増えたという。
「お客様からもディスプレイがきれいになったとの評価をいただいた。そごう・西武の店舗では当店のみの試みである。ハロウィンがある今月はオレンジのスカーフを巻いているスタッフに「Trick or Treat」と声をかけるとお菓子をプレゼントする企画を実施した。女性ならではの発想で実現した企画であり、上からではなく現場のメンバーが話し合って形にした」
所沢店の一次商圏は所沢市内をはじめ、狭山、東村山、東久留米周辺で、この1年間の来店客の平均年齢は47才。30代後半~50代が多いが、この2~3年で60代以上の伸び率が高まった。
「60代以上のシェアは3番目だが、化粧品売場が客数で苦戦して総合的な買い上げ客数を割っている中、この年代の客数は増えている。顧客が年齢を重ねてシニア世代になってきた」
2013年9月にアルビオンの専門店ブランド「イグニス」を独立してコーナー化しした。
「当店のアルビオンは専門店型(運営元=ギャルソンヌ)であり、オーガニックや自然派化粧品を増やそうとした時にアルビオンの中で展開中のイグニスをクローズアップし、百貨店で初めてコーナー化した」
この場所にはメークブランドを強化していた3~4年前、所沢地区周辺の取扱いがなく、人気も高かった「ポール&ジョー」を導入した。
その後、時代の変遷やライフスタイルの変化を踏まえてクローズ、スキンケアからボディケアまでトータルで揃うブランドであり、同店の客層に合っていることから思い切って「イグニス」をコーナー化したという。
導入から約1年。予算に対しほぼ計画通りに推移しており、「百貨店ブランドではないのでアルビオン以外のお客様にはあまり知られていない。よって最初の半年は認知活動が中心ですぐには数字につながらなかったが、エントランス付近に小型什器を設置して2カ月に1度のペースでサンプリングを行い、DMによる告知活動も展開したところ、徐々にお客様が増えてきた」という。