資生堂、所蔵の歴史的資料が化学遺産として認定

粧業日報 2017年3月23日号 3ページ

カンタンに言うと

資生堂、所蔵の歴史的資料が化学遺産として認定
 資生堂が所蔵する歴史的資料3点が、「近代化粧品工業の発祥を示す資料」として、公益社団法人日本化学会主催の平成28年度(第8回)の「化学遺産」に認定された。3月17日に慶応義塾大学日吉キャンパスにおいて化学遺産認定証贈呈式が行われ、今年度の認定対象となる「近代化粧品工業の発祥を示す資料」の所蔵者を代表して、岩井恒彦副社長が認定証を受領した。

 今回認定されたのは、日本初の固形石鹸状の練歯磨き「福原衛生歯磨石鹸」(1888年(明治21年)当時の容器と1924年(大正13年)当時の処方帖)、同社初の化粧水「オイデルミン」(1918年(大正7年)当時の大小容器と1924年(大正13年)当時の処方帖)、本格的なヘアトニック「フローリン」(1915年(大正4年)当時の容器と1924年(大正13年)当時の処方帖)の3点で、明治・大正時代に製造された化粧品に関連した資料や製品。それまでの日本にはなかった化粧品、化粧法が欧米から導入されたことで、国産化粧品が製造されるようになったことを今に伝えている。

 福原衛生歯磨石鹸は、1888年(明治21年)に発売された日本初の固形石鹸状の練歯磨。粉歯磨が1袋2~3銭の時代に陶製の容器に入って25銭と大変高価だったが、品質が良く売れ行きも上々、1890年(明治23年)の第3回内国勧業博覧会で褒状を受けた。容器の上部には、当時の資生堂の商標である「鷹」のマークが描かれている。

 オイデルミンは、1897年(明治30年)に同社が化粧品事業に進出するきっかけとなった化粧水。「オイデルミン」は「良い皮膚」を意味するギリシャ語の造語で、西洋薬学処方に基づき開発された。その色から「資生堂の赤い水」の愛称で親しまれた。

 フローリンは、初代社長の福原信三氏が米コロンビア大学を卒業後、研修生として働いていたアメリカのバロー・アンド・ウェルカム社から、帰国にあたって贈られた処方を基に1915年(大正4年)に開発されたヘアトニック。「フローリン(FLOWLINE)」の商品名は英語からの造語で、流れるような美しい髪をイメージしてつけられた。容器は当時としては珍しい楕円筒形のガラス製の瓶で、レーベルには説明が英語で書かれ、「資生堂」や「銀座」もローマ字で「SHISEIDO」「GINZA」等と記されるなど、西洋感覚あふれるデザインだった。

 化学遺産認定の対象となるのは、化学プラント遺産や象徴的な建造物・構造物、保存・収集された装置・製品、歴史的意義のある化学関連文書類などで、第8回の認定5件も含め、累計で43件が化学遺産として認定されている。
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