花王、眼の周りを温めることによる入眠への好影響を確認

粧業日報 2019年8月28日号 4ページ

花王、眼の周りを温めることによる入眠への好影響を確認
 花王パーソナルヘルスケア研究所は、睡眠と密接な関係がある体温に着目し、眠りに入りやすくなるメカニズムを明らかにする研究を行った結果、眼の周りを適度な温度で温めると手や足の皮膚温が上がり、体の熱が外に逃げる「放熱」が促進されることを確認した。

 この生理的変化は人が眠りに入るときの体の状況と類似しており、入眠にポジティブな影響を及ぼす可能性が考えられるという。

 同研究内容は、日本睡眠学会第44回定期学術集会シンポジウム(2019年6月27~28日、名古屋)で発表した。また研究結果の一部は、英国Nature Publishing Groupの電子ジャーナルScientific Reportsに掲載されている。

 人が生きていくうえで睡眠は欠かせず、睡眠時間が不足すると労働生産性が低下するだけでなく、うつ病や生活習慣病など様々な問題につながることから、同社では、こうした問題への解決策を模索するために、睡眠と密接な関係がある体温に着目した研究を重ねてきた。

 就寝時は体の内部の温度を下げて体と脳を休息させる必要があり、体の内部の温度を下げる仕組みとして、通常では手や足の皮膚温を高くして体の熱を外へ逃がすメカニズム(放熱)が働くが、手先や足先が冷たくなりやすい人は手や足の皮膚温が低いままで、熱が逃げにくいため寝つきが悪くなるといわれている。

 同社は、睡眠悩みのある人を対象とした研究で、就寝時に眼の周りを適度に温めると、「寝つきがよくなる」など自覚的・客観的な睡眠の質が改善するという結果をすでに報告しており、リラクゼーション効果による心理的な影響と体温変化の生理的な影響の作用秩序を検証するため、眼を安全に適度な温度に温めることができるシートを用いて試験を行った。

 対象としたのは健常な男性19名で、日中の時間帯に前述のシートで眼の周りを温めながら実験室内のベッドで60分間安静と覚醒を保ち、体の内部の温度(直腸温)、手と足の皮膚温(手の甲、足の甲で測定)、体幹の皮膚温(鎖骨下で測定)、口頭での自覚的評価(温かさ、心地よさ、眠気)、脳波、心電図などを測定した。その結果、眼の周りを適度に温めることで、「対象者が自覚的な心地よさや眠気を得たこと」「コントロールと比べて、手足の皮膚温の上昇が大きかったこと」「コントロールと比べて、体幹に対する手足の皮膚温の差が大きくなり、体の熱を外へ逃がす放熱が促進されたこと」を確認した。

 つまりこれらの変化は、人が眠りに入るときの生理的な体の状況と類似し、眼の周りを温めることは入眠にポジティブな影響を及ぼす可能性が考えられる。

 以上の結果と過去の研究から、眼の周りを適度に温めることにより、心理的な影響と生理的な影響の両方が睡眠に影響することが示唆された。
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