ライオン、オウバクエキスが破骨細胞の形成を抑制する効果を確認

粧業日報 2020年7月13日号 4ページ

カンタンに言うと

  • 歯槽骨を含む歯周組織全体に着目した歯周病予防の新たなアプローチ
ライオン、オウバクエキスが破骨細胞の形成を抑制する効果を確認
 ライオンは、歯周病予防の有効成分として使われる生薬の1つであるオウバクエキスが、歯槽骨吸収に関与する破骨細胞の形成を抑制することを確認した。この知見は、歯槽骨を含む歯周組織全体に着目した歯周病予防につながるという。

 なお、この研究は、2020年4月に「第98回国際歯科研究学会(International Association for Dental Research;IADR)」にて誌上発表した。また、関連する研究については、2020年7月に開催される「第63回春季日本歯周病学会学術大会」にて誌上発表する予定だ。

 一般的に、歯周病を予防するための日常的なオーラルケアに対しては、歯茎の腫れを抑える抗炎症成分や、炎症の原因となる歯周病菌に対する殺菌成分を配合するなど、歯肉に着目したアプローチが主流となっている。

 一方、歯周病が進行すると過剰な歯槽骨吸収が起こり、最終的には歯の喪失に至るといわれているにも関わらず、歯周病予防成分による歯槽骨の吸収に着目したアプローチは、これまでほとんど行われてこなかった。

 そこで今回の研究では、歯槽骨吸収に関与する破骨細胞の形成に対し、歯周病予防成分の1つであるオウバクエキスを作用させ、その影響を検証した。

 歯周病予防の有効成分「オウバクエキス」について、歯槽骨吸収に関与する破骨細胞の形成抑制効果を検証し、同様の効果が報告されているオウバクエキス中に含まれるベルベリン塩酸塩と比較した。

 市販の破骨前駆細胞をRANKL(100ng/mL)、M-CSF(100ng/mL)により分化誘導し、オウバクエキス(1.25μg/mL(ベルベリン換算:0.2nmol/mL))またはベルベリン塩酸塩添加群(0.2nmol/mL)、コントロール(非添加)群について、破骨細胞の指標である多核TRAP陽性細胞数を計測した。

 その結果、コントロール群では分化誘導によって破骨細胞の形成が促進されたが、オウバクエキス添加群はベルベリン塩酸塩添加群と同様に破骨細胞の形成が顕著に抑制されることが確認された。 

 以上の結果より、破骨前駆細胞にオウバクエキスを作用させることで、破骨細胞の形成が抑制されることが示唆された。

 今回の研究により、歯周病予防成分として認められているオウバクエキスには、従来の抗炎症などの作用のほかに、歯槽骨吸収に関与する破骨細胞の形成を抑制するという新たな歯周病予防に対する作用が見出された。

 この知見は、従来の抗炎症など歯肉へのアプローチにとどまらず、歯槽骨を含む歯周組織全体に着目した歯周病予防につながることが期待される。 
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