コーセー 小林一俊社長 2021年新春インタビュー~世界で存在感のある究極の高ロイヤルティ企業を目指す

週刊粧業 2021年1月1日号 8ページ

2021年1月14日 15時50分



「持続可能性」「適応性」を軸に
人にやさしい「美の創造企業」へ

 ――中期ビジョンで目指す「世界で存在感のある究極の高ロイヤルティ企業」をどう具現化していきますか。

 小林 化粧品は、効能効果だけでなく、感触や生活を豊かにするQOLといった側面も備わっていなければ、長くご愛顧いただくことは到底叶いません。

 「雪肌精」や「コスメデコルテ モイスチュア リポソーム」のように、「これじゃないと困る」といわれるブランド・商品を数多く有することによって、その人にとってなくてはならない存在を目指していきます。

 ある時、香りの専門家に「御社の製造する化粧品の香りはある枠内に全て収まっている。嫌われるような要素が一切ないですね」と言われました。

 香りではある程度それが実現できていますので、今後はコーセーグループの投入する全ての化粧品が、ある枠から逸脱していないのに様々な嗜好に適応している、と多くのお客さまに実感してもらえる状態に持っていくことで、「究極の高ロイヤルティ」を実現していきます。

 つまり、究極の高ロイヤルティとは「これじゃないと困るとまで言わせずとも、いろいろ試したけど、戻ってくると落ち着くし、安心できるし、肌の状態がすごく良くなると言わしめる」ことであり、全てのアイテムでその実現を目指します。

 ――次年度の課題、抱負についてお聞かせください。

 小林 日本独自の感性や日本人の知性など、いろいろな意味で日本が評価される年になって欲しいです。

 コロナ禍にあって重症者、死亡者が少ないのも、多くの日本人が感染防止に努めているからであり、この真面目さ、日本の清潔に対する意識は、誇れる部分です。

 東京オリンピック・パラリンピックも何らかの形で開催されるといわれており、外国人の来訪も早晩戻るでしょう。

 「安心・安全」「高い効能効果」「ジャパンブランド・MADE IN JAPAN」といった日本の化粧品の良さが見直され、グローバルに広まっていくまたとないチャンスが訪れます。この流れをしっかりと掴んで、事業の成長、発展につなげていきます。

 その一方で、アフターコロナに向けて準備を進めていくことも重要です。

 世界に通用するグローバルなモノづくりを実現するためには、デジタルプラットフォームと生産や研究との融合を急ピッチで進めていくと同時に、「サステナビリティ(持続可能性)」と「アダプタビリティ(適応性)」を推進することが欠かせません。

 昨今では、ESGやSDGsの推進が叫ばれる中、COやプラスチックの削減ばかりがクローズアップされます。それはそれでもちろん重要なことですが、その一方で人件費の圧縮を進めていたのでは真のサステナブル経営とは言えません。

 当社は、例えばBCの活躍の場の拡大や多能化、社会的地位の向上など、「人にやさしい経営」という良きDNAを伝承しつつ、「サステナビリティ」にもしっかりと対応していき、他社との違いを鮮明にしていきます。

 当社は、SDGsの推進が叫ばれるようになる遥か前の1991年に、CIの導入を契機にコーポレートメッセージ「美しい知恵 人へ、地球へ。」を発信しました。

 この言葉には、「美の創造企業」として、「美」にまつわるあらゆる知恵を出し合い、人々のため、大切な地球のために役立てるという強い決意を込めています。

 SDGsの根底にある「誰一人取り残さない」という発想は、我々がモノづくりのコンセプトとして掲げている「アダプタビリティ」も実は同義で、様々な価値観や宗教観の違いまでも超えてアダプト(適合)していき、その究極が、一人ひとりに寄り添う「パーソナライズ」に行きつくというイメージです。

 当社では、世界の多様なお客さまニーズに応えるモノづくり企業として「アダプタビリティ」を強化するとともに、コーポレートメッセージ「美しい知恵 人へ、地球へ。」を、30年も前から発信し続けてきた歴史を含めてこれからもしっかりと取り組んでいきます。

 SDGsへの取り組みについても、17の分類のうち何個クリアできたという発想ではなく、化粧品会社としてこだわって継続し続ける中長期のサステナブルな活動を、コーセーらしいストーリー性を持ってお客さまに説明し、納得してもらうことを重要視していきます。

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