化学品メーカーの大同化成工業は、出展する「CITE JAPAN2021」にて、疎水化セルロース誘導体「サンジェロース」とそのプレミックス原料「セルジェラ」シリーズ、水系エマルションタイプの皮膜形成剤「ビニゾール」など自社開発原料の最新知見を紹介する。また、新規原料として天然由来の防腐剤を紹介し、開催2日目の20日(木)には技術発表も行う。
「サンジェロース」は、乳化安定性にすぐれた多機能性高分子で、低濃度で高い粘性を付与する。また、耐塩性を示し、幅広いpH領域での使用が可能な特徴を持つ。
ベタつかずサラっとした感触への評価も高く、これまで化粧品や医薬部外品、医薬品外用剤で使用実績を積み上げている。
サンジェロースの乳化安定性については、サンジェロース0.2%の微量添加で、乳化物の課題であるクリーミングと油浮きの両方が改善できることが認められ、さらに高分子乳化剤として使用することで数種の植物油を安定乳化することができることも確認された。
以上からサンジェロースは、界面活性剤を使わずに油性成分を乳化でき、界面活性剤フリーの乳化製剤に適した原料といえる。
昨年からは、コロナ禍の感染予防対策で、手指用アルコール消毒剤(指定医薬部外品配合可)の質感向上等の目的で需要があったほか、ハンドソープの泡持ち(泡持続性)向上等を目的に、サンジェロースの検討が増えてきている。
今年4月には、サンジェロースはRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)の認証を受け、環境に配慮したサステナブルな高分子として原料価値を高めている。展示ブースでもRSPO認証の対応原料として紹介していく。
「ビニゾール」は、大同化成工業のコア技術であるアクリルポリマーの合成技術を応用した被膜形成剤である。
構成するアクリル成分を調整することでユーザーのリクエストに応じたカスタマイズが可能で、ぬるま湯で簡単オフできるタイプや、耐水性・耐皮脂性のあるタイプ、透明系製剤への応用が可能なタイプなど豊富なラインナップを取り揃えている。
展示ブースでは、マスカラやアイライナー、二重まぶたやつけまつ毛用粘着剤に加え、水系ネイル用やヘアセット剤等の新たな領域への可能性も紹介していく。
新規原料「Catenoa(カテノア)」は、大阪大学産業科学研究所の大学発ベンチャーであるプロテクティア社が開発した茶カテキン由来の新成分「カテプロテクト」を配合した天然由来の防腐剤であり、パラベンフリーなど合成防腐剤フリーの製剤化に対応する。
「カテプロテクト」は、天然茶カテキンのもつ抗ウイルス・抗菌効果をさらに強化させた成分で、30種以上の細菌・真菌類を不活化する効果が確認されている。
今年1月には、新型コロナウイルスへの効果があることが新たに認められ、抗ウイルス成分としてコロナウイルス感染対策製品への応用化が進められている。
そのカテプロテクトを配合した「カテノア」も同様の効果が期待でき、2日目に実施する技術発表では、そのエビデンスとともに茶カテキン由来の防腐剤としての提案を行う。