花王は、慶應義塾大学理工学部の奥田知明教授、鹿島アントラーズ・エフ・シー、産業技術総合研究所と共同で、マスクの感染予防効果と快適性を評価することにより、大規模イベントのより安全な開催をめざす研究プロジェクトに参画すると発表した。
5月26日より実証実験を開始し、将来的には「飛沫抑制と通気性を両立させたマスク」を開発し、大規模イベントのより安全な開催を目指す。
効果的な感染予防のためには飛沫抑制が必須であり、マスクに求められる性能に関して多くの研究が進められている。既往研究結果からは、不織布製マスクに比べて通気性のよい布・ポリウレタン製のマスクでは飛沫抑制効果が劣ることが示されている。
また、不織布製マスクでも、マスクと肌のすき間を少なくする必要があるが、現状では通気性が悪いケースが多く、実使用場面においては快適性の観点で課題が少なくない。
そのため同社では、「飛沫抑制と通気性を両立させたマスク」を開発し、マスクの感染予防効果と快適性を評価することが、スタジアム等大規模施設でのより安全なイベント開催等において有用だと考えた。
同プロジェクトでは、花王がさまざまな不織布製品で展開している快適性を高める研究を応用して開発したプロトタイプマスクを含む複数の不織布製マスクを用いて、実験室で飛沫抑制効果、快適性の評価を行うとともに、サッカースタジアムにてマスク着用時の快適性評価の実証試験をした上で、マスクの改良を行う。
具体的には、複数の不織布製マスクについて、発声時に透過する飛沫量を画像解析により可視化する。さらに、実使用場面を想定した飛沫抑制効果を慶大の奥田教授が検証するとともに、着用時の快適性をアンケートにより確認する。
続いて、花王は呼吸シミュレーション、不織布製マスクのすき間部の空気流体解析等から、呼吸時の不織布製マスクの飛沫抑制効果を検証する。
また鹿島アントラーズ主催試合にて月に1回程度、プロトタイプマスクを数百人規模のスタッフや警備員等に着用してもらい、さまざまな気象条件における快適性の評価・着用状況の観察を行う。
これらの結果より花王はプロトタイプマスクの改良を行う。
産業技術総合研究所は、リスク評価モデルを活用し、複数の異なる不織布製マスクを対象に、得られたデータから着用時の感染リスク低減効果を評価する。