花王、使用済み紙おむつ炭素化リサイクルシステムで実証実験

粧業日報 2023年2月27日号 3ページ

花王、使用済み紙おむつ炭素化リサイクルシステムで実証実験
 花王は、京都大学とともに2021年1月から、愛媛県西条市の協力のもと「使用済み紙おむつの炭素化リサイクルシステム」の確立に向けた実証実験を進め、2023年までに炭素素材への変換技術の確立、2025年以降の社会実装を目指している。

 使用済み紙おむつは、現在年間200万トン以上がごみとして主に焼却処分されており燃えるごみの4~6%を占めるほか、多くの水分を吸収しているため焼却炉の燃焼効率を悪化させる原因になっている。

 今後、高齢化による大人用紙おむつの使用増加に伴いごみの量が増え、環境に与える影響がさらに大きくなると予想されることから、有効なリサイクル技術の確立が待ち望まれている。

 こうした中、同社ではこれまで「使用済み紙おむつの炭素化装置の開発」「炭素化した使用済み紙おむつの炭素素材への変換」「リサイクルシステムの社会実装」を推進してきた。

 「炭素化装置」については、2021年11月に西条市の保育施設に花王が開発したものを設置し、12月から稼働を開始。使用済み紙おむつの処理データを採取し、性能向上に向けて検討を行っている。この炭素化装置により、使用済み紙おむつの体積を20分の1程度に減らすことができたことから、今後はより省エネルギーでの稼働、処理時間の短縮を目指し、2号機の開発を進めていく。

 炭素素材への変換に向けては、炭素化装置から得られるようになった質の高い半炭化物をサンプルに、タイヤの充填剤や電子材料等の高度リサイクル素材、保水・土壌改質剤、植物育成や下水処理に活用できる活性炭といったものを目指し、研究を進めている。

 リサイクルシステムの社会実装に向けては、炭素化装置の設置拠点、回収方法などインフラの検討を進めている。今回の取り組みは、花王グループのESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」の重点組みテーマの中では「ごみゼロ」「脱炭素」に貢献するものであり、経営にESGの視点を導入することにより、パーパスである「豊かな共生世界の実現」に向けた取り組みをさらに推し進めていく。
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