オマケが高評価得て商品へと発展、
クチコミ波及以降は引く手多く
――小社から至近のドラッグ店が通称「ヒアルロン酸」をレジ脇2カ所に山積みしています。
岸川 売れている。「ヒアルロン酸」を最初に世に出したのが2003年で、10年以上をかけて年間の総出荷量が約1000万個に達する大ヒット商品に成長した。
当社はもともと水の専門メーカーで水処理を生業にしていた。
化成品メーカーの水処理に係わる縁から健康産業にも進出してみたいと考え始めた頃、鹿児島でアロエの有機無農薬栽培をしている先輩が「アロエの原液を販売してみないか」と持ちかけてきた。
検討したのちこの話に乗り、アロエを絞った100%エキスを720mLのワインボトルに入れて自社HPから通信販売で発売した。時間はかかったが、やがてアロエ信者がいると見えて売れ始めた。ご高齢なお客様が当初の顧客層だったものが、ある時から年齢層が下がり始めた。
年間の販売数量がぼちぼち1万本を数えた頃、若いお客様から「飲んで身体に良いものは肌に塗っても良い」「子供にも勧めている」と教えられ、販売者の意図しないところで当社のアロエが化粧品と化していることを知った。
アロエの効用は、昔から「医者要らず」と呼ばれて便通改善が定番だったはずだが、水のプロである当社が結果的に化粧品を売っている。これは想像もしていなかった。
――現在への基盤となるエピソードです。
岸川 お客様の声で化粧品としての用途も担っていることを掌握したのを契機に、オマケ付けとして、グリセリンや尿素のほか、クエン酸を小袋に入れて付属品にした。保湿性の観点からヒアルロン酸も用意した。
ヒアルロン酸は非常に高価だったが、当社はもともと薬品会社やメーカーと排水処理事業でお付き合いがあり、事情を話して相談したところ格安で分けてもらうことができた。これを容量5mLの瓶に入れて「お試し」としてアロエ瓶につけた。当社スタッフのアイデアだった。早晩、凄く良い評判を呼んだ。
お客様の高評価を背に「製品化してみよう」ということになり、これが現行「ヒアルロン酸」誕生のきっかけだった。
振り返って今のような売れ行きにつながった要因を考えた時、当社の女性スタッフが関連づけた当時の人気キーワード「ワンコイン」に行きつく。
初めてのスキンケア製品が1000円だったら購入を躊躇するけど、500円だったら手軽に買うことができるという社内の意見に懸け、容量10mLと決まっていた「ヒアルロン酸」を上代500円で売るための検討が始まった。