2012年の冬、アパレル業界ではバーゲンセールが早まるところと、そうでないところが生じるというニュースを聞いた。
というのも、毎年バーゲンが早まり、シーズンの初めからOFFプライスが常態化していたため、昨年は業界全体で足並みをそろえてバーゲンを後ろ倒しにしたところ、各社揃って業績を落としてしまったという反省から、2012年は例年通りに早いバーゲンに戻したお店と、やはり正価販売の期間が実質上ほとんどないという点を是正しようとしているお店に分かれたようだ。
このように、アパレル業界ではシーズンの変化と年間催事の当たり外れは、業績を大きく左右する。
一方、化粧品販売の場合もアパレル業界ほどではないが、季節の変化に応じたプロモーションを展開してきた。
ただし化粧品業界では「値引き催事」という意味合いではなく、他社商品からの「ブランドスイッチ」のチャンスとして、新商品リリースのタイミングにしてきた会社がほとんどだと思う。
また化粧品は通年商品も多いので、アパレルのように「衣替え」しなければならない理由が希薄になるため、どうしてもシーズンイベントがおざなりになりがちだ。
それでも私はやはり季節感の演出は、化粧品の大切なプロモーションだと思う。初夏ならUVシーズンだし、真夏は皮脂対策、秋はおしゃれメイク、冬は徹底保湿のスペシャルケアアイテムを、ジャストタイミングでお客様に勧めたい。
シーズンプロモーションを通じて、お客様に「化粧暦(こよみ)」の概念を持ってもらうことは、きちんと肌のお手入れをするお客様を育成するためにも不可欠なことだ。
商品を夏用、冬用と用意しなくても、夏は皮脂対策で涼しくお手入れする方法、冬は重ねづけなど万全の乾燥対策、そんな使い方、使用量を調節することで、季節に合った適切なお手入れ方法のアドバイスができる。
お客様が使用する化粧品ブランドを切り替えるタイミングはやはり「季節の変わり目」。肌トラブルに陥るのもこの時期だから、大きなきっかけになっていると思う。
そんな時に、季節に適した、効果的なお手入れ方法も一緒に提案すれば、ブランドスイッチの機会もより多くなるに違いない。
そのためにも、ぜひ自社製品で、使い方を含めた年間の「化粧暦」を作ってみてはいかがだろうか。たとえ「通年商品」として打ち出している商品でも、季節の変化に応じたお手入れの方法を提案することは、とても大切だといえる。
それは四季がある日本人の暮らし方をお客様とともに楽しんで、日本人の化粧の文化を共有するチャンスでもある。
鯉渕登志子
(株)フォー・レディー代表取締役
1982年㈱フォー・レディーを設立。大手メーカーの業態開発や通販MD企画のほか販促物制作などを手がける。これまでかかわった企業は50社余。女性ターゲットに徹する強いポリシーで、コンセプトづくりから具体的なクリエイティブ作業を行っている。特に通販ではブランディングをあわせて表現する手腕に定評がある。日本通信販売協会など講演実績多数。
紙面を探す
紙面を探す
レポートを探す
無料でダウンロード
カタログを探す
無料で見る
週刊/毎週月曜日発行
化粧品、日用品、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした生産・流通産業界の総合専門情報紙。
季刊/年4回
化粧品、日用品、アクセサリーなどの業界別の市場動向をはじめ、戦略、流通、経営、マーケティングを扱う情報専門誌。
週刊/毎週月曜日発行
化粧品、トイレタリー、石鹸、歯磨、日用品に関する情報の速報版。業界のエグゼクティブ必読の情報紙。
週刊/毎週月曜日発行
昭和33年に創刊された、わが国初の訪問販売化粧品業界の専門情報紙。