当法人がメンバーファームとして加盟している世界規模の会計事務所であるアーンスト・アンド・ヤングは、Luxury&Cosmetics業界に関する様々な分析を行ったFinancial Factbookを先日公表しました。いつも会計的な話に偏りがちなので、今回は、そこから世界の化粧品市場に関する記載を抜粋したいと思います。
まず、最近10年間での世界の化粧品市場(スキンケア、ヘアケア、香水、メイクアップ、洗顔、デオドラント、その他の小規模カテゴリー等)の成長についてですが、図1の通り、毎年安定的な成長が認められます。
リーマンショック直後の2009年には成長率の落ち込みもありましたが、その後は2年連続で4%台の成長が認められ、今後も安定的な成長率が見込まれています。なお、2011年の世界の化粧品市場の規模は売上高ベースで1530億ユーロ(約15兆円)です。
次に製品別及び地域別の2011年の市場構成は図2の通りです。地域別にみるとアジアパシフィック地域が全体の31%を占め、それに西ヨーロッパの24%、北米の20%などが続いている状況です。また、製品別ではスキンケアが全体の31%を占め、ヘアケアの25%、香水の14%などがそれに続きます。
最後に、今後の世界の化粧品業界各社の動きについてですが、やはり当然のこととして、新興国へのシフトが取り上げられています。例えば2011年の市場の成長のうち8割以上が新興国市場での成長により占められていることからも、それは当然の動きと考えることが出来ます。
また、新興国の消費者の収入水準が向上してきているため、いわゆるマス市場向け製品だけでなく、中高価格帯製品の成長率も年々高くなってきています。
一方、業界各社は従来BRICs各国などに製造拠点を増やしてきましたが、人件費の高騰などもあり、新たな製造拠点の設置においてはそれ以外の新興国も選択肢として取るケースが増えてきています。
既にみなさん御存じの内容ばかりかもしれませんが、我々アーンスト・アンド・ヤングではこのような市場分析等も行っています。詳細なレポートがご覧になりたい場合、週刊粧業編集部経由で私にご連絡いただければ、ファイルのご提供をさせていただきます(英語版のみ)。
田中計士
新日本有限責任監査法人 シニアマネージャー
2000年、監査法人太田昭和センチュリー(現新日本有限責任監査法人)に入所後、化粧品、食品、宝飾品などの消費者製品メーカーを中心とした監査業務に従事。その他、株式公開支援業務、内部統制アドバイザリー、デューデリジェンス、経理財務専門誌への寄稿等、幅広い業務を行う。
http://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/industries/basic/cosmetics-and-toiletries/
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