最近、化粧品の商品開発をお手伝いする機会が増えた。
商品開発の初期段階から並行して売り方も考え、商品コンセプトと広告宣伝・販売促進の連携を高めるというメリットも生まれるので、積極的に取り組んでいる。商品コンセプトを具体的な商品の形にしてく工程は、とても楽しい作業だ。
使い手のことを考えるのは商品開発の基本中の基本だが、特に化粧品を考える時は、「これを使うのはどんな女性だろう?」と、いろいろ想像を巡らせる。
私自身が女性だということもあるが、先輩のおばあちゃん世代から子供世代まで、様々な女性の暮らし方や日々のお化粧への想いなどを想像するとワクワクする。
化粧品開発は、様々なバックグラウンドを持った女性たちに「きれいになってもらいたい」、さらには「きれいになることで、人生を楽しく豊かにしてもらいたい」商品である。これを基本にして、発想の面白さや厳選した成分、使用感や香り、美容効果、細部までこだわった使いやすいパッケージなど、様々な「こだわり」を盛り込み、他とは違う輝きを放つ商品へと磨きをかけていく。こういうプロセスが化粧品開発の楽しみだと思う。
ところが最近は、配合成分や使い方などばかりに注目した、面白味のないものが増えてしまっているように感じる。作り手の「こだわり」が技術に偏りすぎているように思えてならない。
もちろん成分や使い方は製品作りのうえでとても重要なファクターだ。しかしそれだけでは化粧品として成り立たないのではないかと私は思う。
化粧品とは「使った女性が美しくなり、喜びを感じてもらうためのもの」なのだ。成分や技術だけでは完成しない、「女性たちのどんな願いのために......」や「どんな女性のために......」などが、とても大切な構成材料だということを忘れてはならない。
だからこそ化粧品のコンセプトには、お客様に向けた「生き方提案」の裏付けがあってほしいと思う。実際に販売企画の現場では、しっかりとした「芯の通った商品コンセプト」に対する反響は大きい。
例えば自らブランドを立ち上げた女性社長には「頑張って!」という応援メッセージが届くし、看板ドクターや研究者には「私の守り神です!」などという熱烈なお便りが届く。
しつこいようだが、お客様は化粧品の効果効能だけでなく、そのメーカーや化粧品の持つ「ストーリー」をも支持しているのだ。
「使った女性が美しくなり、喜びを感じてもらう」。この大きな目的を叶える商品開発をするためには、最初にお話しした「使う女性の人生を考える」ことが必要だ。彼女達が何を考え、どんな時に幸せを感じるのか、彼女達の考える美しさとは何なのかを、あれこれと想像して欲しい。
そしてお客様の期待に応えるためにも、化粧品の商品開発に携わる者は、女性達に「生き方提案」までしなければいけないと思う。
鯉渕登志子
(株)フォー・レディー代表取締役
1982年㈱フォー・レディーを設立。大手メーカーの業態開発や通販MD企画のほか販促物制作などを手がける。これまでかかわった企業は50社余。女性ターゲットに徹する強いポリシーで、コンセプトづくりから具体的なクリエイティブ作業を行っている。特に通販ではブランディングをあわせて表現する手腕に定評がある。日本通信販売協会など講演実績多数。
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