連載コラム

激変するコスメマーケット

2014.07.16

第15回 「失敗しないリニューアルとは?」

執筆者:鯉渕登志子 (株)フォー・レディー代表取締役

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 ここ最近、大型ブランドをはじめ、さまざまな会社のリニューアルが続いている。

 新発売とは異なり、既存顧客が存在するリニューアルは一つ間違えれば、新規顧客の獲得はもとより、既存顧客まで失うことにもなりかねない。

 リニューアルを成功に導く鍵は何か? あらためて考えてみた。重要なポイントは5つあると思う。

 まず一つ目は、リニューアルのための準備。もっともこれは日常的に徹底して行うべきことだが、既存顧客の声を徹底して集める情報収集作業が最も大事なことだと思う。

 クレームだけでなく、称賛の声や要望を含めて、すべてのお客様の声をあらゆる方法で集めて、日常的にチェックしておくこと。毎日さまざまなお客様があらゆるシーンで使っているからこそ出る「生の声」に耳を傾けることはリニューアルの大前提になると思う。

 二つ目は、新しい技術や進化した原料など、美容トレンドを少しでも取り入れて進化させること。必ずしも目新しいものに飛びつく必要はないと思うが、お客様も日々進化し、実感する美容感度がますます鋭くなっているように感じる。

 そんなお客様のために、客層に相応しい最新テクノロジーの導入や原料開発は不可欠なのではないかと思う。

 三つ目は、リニューアルの開発プロセスについては、「丁寧に、丁寧に」行なうべきだと思う。

 発売日に間に合わせるため商品の仕上がりを妥協するようなことがあってはならない。何度もテストを繰り返し、効果・効能・安全性・使用感に至るまで、作り手のこだわりやお客様の要望をとことん追求していく開発姿勢が製品力を左右するのではないだろうか。ましてリニューアル商品は既存客にNGを出されるようなことがあっては、ビジネスの終焉に直結する。

 四つ目は、イメージ先行のリニューアルは要注意しなければならないということだ。もちろんイメージ戦略はとても大切だが、最近はエビデンスなど客観的な結果が求められるようになっている。

 化粧品もイメージだけではなく、実感を伴う製品の価値が厳しく問われ始めている。

 五つ目は、リニューアルの目的を明確にお客様に伝えることである。会社側は、改良に改良を重ねて製品をバージョンアップしているつもりでも、お客様にその良さが伝わなければ意味がない。

 既存客にとっては「もともと好んで使っているものを会社側の都合で変更した」ことと同じなのである。

 製品が変わっても納得して継続使用いただくためには、情報ツールでお客様に徹底した告知が不可欠だし、できればリニューアルを機会に新規顧客も取り込みたいものである。

 リニューアルとは一回で終わるものではない。また、「発売して3年経過したからそろそろ潮時」などという理由で行なうものでもない。たとえ、6カ月前にリニューアルしても不具合があればすぐに改良するべきものだと思う。つまり、リニューアルにゴールはなく、常に進化し続け、製品を育て上げることが大切なのではないだろうか。その積み重ねによって、ロングセラー製品が誕生する。

 莫大なコストがかかるリニューアル。会社側視点のみの改良にならぬように臨みたいものである。

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プロフィール

執筆者:鯉渕登志子 (株)フォー・レディー代表取締役

1982年㈱フォー・レディーを設立。大手メーカーの業態開発や通販MD企画のほか販促物制作などを手がける。これまでかかわった企業は50社余。女性ターゲットに徹する強いポリシーで、コンセプトづくりから具体的なクリエイティブ作業を行っている。特に通販ではブランディングをあわせて表現する手腕に定評がある。日本通信販売協会など講演実績多数。

http://www.forlady.co.jp/

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