連載コラム

激変するコスメマーケット

2014.08.08

第16回 「消費増税の特需を契機に使用量を見直してもらう」

執筆者:鯉渕登志子 (株)フォー・レディー代表取締役

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 今年4月、ついに消費税率が8%へと引き上がった。増税を前にした3月、わが社もカタログの価格表記差し替えなどの対応に追われた。化粧品業界では駆け込み需要が予想を大きく上回り、メーカー各社の3月の業績を押し上げ、大手では、特に中価格帯から高価格帯商品が高い伸びを示し、3月下旬からは前年の2倍ほどの売上となったところもある。



 化粧品はそもそも定期的に安定購入されるものであり、駆け込み需要はそれほど発生しないと思われていたが、思わぬ恩恵を受けることになった。懸念されるのは「まとめ買い」による4月以降の買い控えだが、それほど影響はないという。



 なぜなら、普段ケチケチと使っている化粧品も、たっぷりストックがあると思うと気持ちに余裕ができ、ついつい多く使ってしまう。



 そしてたっぷり使うと肌悩みが改善され「この化粧品は効果がある。自分に合っている」と信頼が増して再購入につながる。



 「そんなバカな」と思われるかもしれないが、化粧品の「使用量」はなかなか無視できない要素なのである。



 「お客様から肌悩みが全然改善されないというお叱りのお電話をいただき、よくよくお話を伺うと、使用量を守っていらっしゃらない方がとても多くて......」。わが社が化粧品メーカーからよく受ける相談だ。



 座談会などで末端顧客の話を直接聞く機会もあるが、長年ご愛用いただいているロイヤルユーザーと呼ばれるお客様でさえ、あらためて「使用量はどれ位ですか」と質問されて驚くこともある。



 考えられる原因は三つある。一つ目は、そもそもお客様がメーカーのいうことを信用していない。昔、調味料メーカーが穴を大きくしたように、多く使わせようとしているのだろうと疑っている。

 二つ目は、自分の習慣によって使用量を決めている。若いころからの勘や目分量に頼っている。メーカーを変えても、加齢によって肌質が変わっても同じ量しか使っていない。



 そして三つ目は、販売員の説明を聞いていない。パンフレットも読んでいない。そもそも使用量というものを認識していない。化粧品は自己流で使用してもよいものだという思い込みがある。



 メーカー側は効果を感じられる適量を提示し、それに沿って使っていただけていると思っているが、お客様は使用量の重要性を認識できず、作り手の考え方が伝わっていない。



 そしてメーカー側でも使用量の記載がない場合や、あいまいな量を表示している事例が見られる。店頭で美容部員が懇切丁寧に使い方を教えられる時代はそれでいいが、通信販売やセルフ販売の量販店で化粧品が売られる時代に、これではあまりにも不親切である。



 そこでメーカー側の対応策として考えられることは、




①使用量についてなるべく実寸でパンフレットに載せる方法や「パール大」「さくらんぼ大」と女性がイメージしやすくする




②パッケージに目盛をつけてもいいし、洗剤のように量を測れるものを添付するほか、あるいは1回分ごとに明確に小分けして売る




③使用方法と併せて重ねづけなどを伝え、たっぷり使う習慣をつける、の3点である。



 成功している化粧品メーカーは使用量について、あらゆる工夫を凝らしてお客様に啓蒙している。お客様の手元に買い置き商品がある今こそ、しっかりと適正量を示し、起こった特需を使用量の認識機会にしない手はない。

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プロフィール

執筆者:鯉渕登志子 (株)フォー・レディー代表取締役

1982年㈱フォー・レディーを設立。大手メーカーの業態開発や通販MD企画のほか販促物制作などを手がける。これまでかかわった企業は50社余。女性ターゲットに徹する強いポリシーで、コンセプトづくりから具体的なクリエイティブ作業を行っている。特に通販ではブランディングをあわせて表現する手腕に定評がある。日本通信販売協会など講演実績多数。

http://www.forlady.co.jp/

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