【週刊粧業2017年5月1日号12面にて掲載】
通販ビジネスにおいて各社多くの課題を常に抱えています。良い広告表現を作るためにどうすればよいか?リピート率を上げるためにはどうすればよいか?解約率を今より下げるためにはどうすればよいか?など様々な課題があります。課題を解決する際、恐らく多くの方がまずは情報を集めるということから始めているのではないでしょうか?
課題解決に向けて情報を集めることに集中をしていると、時間をかけた割には、目の前で起こっている事象の理由が解明できなかったり、解決策が見えないということに陥ることがあります。情報を集めて、その中から答えを見つけようとすることは難しい作業です。そこで、情報を集める前に、仮説を立てることが重要となります。
仮説を立ててから情報を集めることで、必要な情報が具体的になり、ただ闇雲に手当たり次第に情報を集めていた時と比べ何倍もの時間を節約することができます。また、集めた情報から読み取れる内容もとても深いものとなります。
一方仮説を立てずに情報集めを行うと、どの情報をどのくらい深く集めれば良いかが見えず、情報集めに多くの時間がとられてしまいます。本来は課題解決のために多くの時間をかける必要があるのに、本来の目的を果たせなかったり、間違った解釈に繋がっていく可能性もあります。
通販会社A社は、ある商品の広告実施前に、広告クリエイティブの事前調査を行いました。その時、具体的な仮説を持たず、調査対象者に数種類の広告クリエイティブを見せ、多くの人が反応したクリエイティブを使って広告をすれば反応が取れると思い込んでいました。実際に広告を実施したところ、アンケート調査で反応が良かったクリエイティブからのレスポンスは悪く、調査とレスポンスには相関がないという結果しか残りませんでした。
アンケート調査時点で、クリエイティブのどの要素(キャッチコピー、画像、価格等)に反応したのかという点を把握しておくことが大切でした。そうすれば、広告実施前に仮説を立てることができ、実施後の結果も今後のクリエイティブ変更に活かすことができたはずです。
化粧品通販会社B社は、自社の商品は他社と比べ価格優位性が高いのではないかと仮説を立てました。そこで、競合品の配合成分、商品価格、グラム単位の価格を調べたところ、明らかに他社と比べ価格が安いことがわかりました。また、比較的、リピート率も高いことから、ただ安いだけではなく、商品の価値と価格のバランスが丁度良く、キャンペーンなどの割引をせずとも買い続けてくれるであろうと仮説を立てました。
そこで割引のような施策は控え、代わりにクリスマス、バレンタイン、母の日などのイベント企画により顧客との接触機会を増やすことにしました。割引をしないと買わないであろうという思い込みを一旦捨て、仮説を立てたことから、新しい取り組みにもチャレンジがすることができました。
情報を集めてもなかなか良い課題解決方法を見つける事ができない、どこまで情報を集めれば良いのかと不安をお持ちでしたら、一旦、情報を集めることをやめ、仮説を立ててから取り組んでみてはいかがでしょうか?