【週刊粧業2017年7月17日号14面にて掲載】
最近の化粧品は素材や効果・効能ばかりが強くクローズアップされ過ぎていると思う。素材や原材料へのこだわりは大前提であり、大切なことだが、化粧品は「きれいになる」という夢を叶えるものだから、もう少し「楽しみ」があってもいいのではないか。そもそも化粧品は使ってもらわなければ完成品とは言えない。使用して「キレイになってもらう」ことがゴールの商品だ。だから使い続けてもらうために、様々な工夫や楽しみがもっとあっても良いと思う。
そんな訳で、今回はアイデアフラッシュ的に幾つかの事例を紹介したい。
例えば、「記録すること」で化粧を楽しむ「お手入れ日記」は、既にいろいろな会社がサービスとして実施しているが、自分の記録や目標になり、きれいになる励みにもなる。
「作り手からのメッセージ」ではコカ・コーラの販促アイデアが参考になる。飲み終わるとボトルにメッセージが出てくる仕組みになっており、これが化粧品ならばさながらジャーの底に「最後までありがとう」とか「きれいになった?」など、メッセージが出てきたら面白そうだ。
「形を楽しむ」という点では、最近華美すぎるボトルは批判されがちだが、シンプルでも美しく、中身を使い切った後も部屋に飾りたくなるようなボトルを作っている会社もある。お客様はそのボトルをコレクションにしたり、また「一輪挿し」として使っていたりと、使い切った化粧品ボトルにも価値を見出している。
そのような見た目の美しさに加えて、「機能性の美しさ」という点では使い勝手のよい容器を考えても良い気がする。例えば、クリームについているスパチュラは取り出しにくく、使いにくいものが多い。もっと形状や仕様を変え、スパチュラを取り出しやすくし、計量スプーンのように量を計れるものにしてはどうだろうか?
また、「アートで楽しむ」という点では、最近イラストレーターやデザイナーとのコラボレーションも増えて、メイク商品やスキンケア商品のパッケージもおしゃれになってきた。そうしたパッケージは記念商品として売り出し、シリーズ化しているところも多い。また自分用だけではなく、友人などへのギフトにしても楽しめそうだ。
「視覚で楽しむ」ならば、すでに多くの会社が導入してはいるが、お手入れ方法を載せた動画サイトを作り、見られるようにしたら、忙しい女性でも空いた時間にチェックでき、きれいになるヒントへ導くお手伝いができると思う。
「色で楽しむ」という点では、唇の温度で口紅やリップの色が変わる商品はどんな色に変わるのか分からない楽しさがある。毎日、唇の色の変化を楽しむことができる。
「地域貢献を身近に楽しむ」という点では、地元の素材を存分に使ったご当地コスメなら親近感も増すし、「ふるさと納税」のように地域に還元するしくみを作れば、その商品のブランド価値を上げるだけでなく、地域への貢献もできるようになる。夫や家族にも堂々と化粧品購入を誇れるのではないか?
様々な例を挙げたが、ちょっとしたことでも、化粧品はアイデア次第で楽しむ要素がたくさんある。女性たちにはお手入れをもっと楽しんでもらい、もっとその時間を費やしてきれいになってほしいと思うので、化粧品会社は「楽しみの提供」にもっと力を入れても良いのではないか?