連載コラム

激変するコスメマーケット

2019.12.02

第37回 社員に愛される化粧品は売れる!

執筆者:鯉渕登志子 (株)フォー・レディー代表取締役

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【週刊粧業2018年1月29日号10面にて掲載】

 私は通販化粧品会社から仕事を依頼されると、必ずといってよい程コールセンターのスタッフに「自社の化粧品を使っていますか?」と訊ねることにしている。なぜなら、自社製品の愛用者が多いコールセンターほど活気があって売り上げも好調だからだ。

 中には、「競合の製品を使って比較し、自社製品の特徴を話せるようにしている」「休日にはデパートのカウンターで美容部員さんの接客を研究している」というようなスタッフもいる。

 研究熱心なスタッフが多い会社は、コールセンターだけではなく様々な場所で自社製品に触れる機会も多い。たとえば洗面所には自社化粧品のテスターが設置され、食堂には自社のサプリメントが常備され、いつでも試せるようになっている。中には外注先スタッフにも製品を配布して試用を依頼している会社もある。

 正直なところ通信販売で化粧品を販売するのは、対面販売よりもハンディキャップが多い。対面販売ならばお客様の肌状態を見て確認し、場合によっては機器類で計測し、生活スタイルをお伺いしてから製品を選んでおすすめすることができる。通信販売の場合はその場で見たり、計測したりすることはできない。

 そのため販売スタッフには、お客様からヒアリングする力と、製品の特徴をお伝えする力、もちろんDM類などで表現するクリエイティブ力(コピー力、デザイン力)も不可欠だ。そしてそれらの根底にあるのは、製品に対する信頼と自信だ。

 長年化粧品の販売促進の仕事に携わってきて感じるのは「知らないものは売れないし、関心のないことは表現できない、好きでないものは情熱をこめて説得できない」ということ。

 そう考えるとコールセンターだけではなく、社内のあらゆる部門で自社製品を愛用する社員が多いことは、会社にとって大きな財産である。企業と消費者が「共感」でつながる時代を迎えて、単なる「仕事だから、業務の役割だから」でかかわるのではなく、「好きなもの」にかかわる社員が多いことは、これからの企業にとってとても重要になる。

 化粧品のビジネスでは、毎日業務に携わっている女性社員たちが、自社製品をどれだけ使用して綺麗になっているか?ということに会社はもっと関心を持ってもよいのではないか。

 女性を綺麗にすることが化粧品会社の使命ならば、一番身近にいる女性たちが、自社の製品を購入し、美容理論と提唱するお手入れ方法を実践して、「綺麗になってもらう」ことができなくては、見ず知らずのお客様を説得することなどできない。強制的に自腹買いを勧めても意味はない。社員一人ひとりが本音で自社製品に対する評価をもっと言いやすく、納得できる考え方とお手入れ方法を提案できなければいけない。

 まずは改善策を「身内から」見出し、それを全社員で徹底的に追求していけば、必ず業績がよい方向に回り始めるのではなかろうか。社員は化粧品メーカーの一員としての自覚が強くなり、日常業務に責任感も出てくるし、自分が改善・改良に携われば、販売トークも生き生きと説得力が増すようになるはずだ。

 販売施策のテクニックだけが売り上げを拡大するのではない。「思いを売るビジネス」の通販化粧品会社は、社内にいる「自社製品に愛情」という思いを持つ女性たちが一番の「広告塔」であり、何よりも大切な販売戦力だと思う。お客様は「美容のプロ」として化粧品会社の女性たちやその肌に関心を持って見ているので、彼女たちの生き方も含めて「綺麗にする」努力を惜しまないことが会社側に求められている。

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プロフィール

執筆者:鯉渕登志子 (株)フォー・レディー代表取締役

1982年㈱フォー・レディーを設立。大手メーカーの業態開発や通販MD企画のほか販促物制作などを手がける。これまでかかわった企業は50社余。女性ターゲットに徹する強いポリシーで、コンセプトづくりから具体的なクリエイティブ作業を行っている。特に通販ではブランディングをあわせて表現する手腕に定評がある。日本通信販売協会など講演実績多数。

http://www.forlady.co.jp/

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