連載コラム

激変するコスメマーケット

2019.12.02

第50回 お客様ファーストのモノづくりをしませんか?

執筆者:鯉渕登志子 (株)フォー・レディー代表取締役

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【週刊粧業2019年9月16日号5面にて掲載】

 私は常々、お客様参加型のブランドづくりを提唱してきた。お客様の声を聞き、アンケートをし、モニターや座談会に参加してもらう、つまり「お客様サロン」のようなメーカーとお客様、またはお客様同士の交流の場を作ることが、ファンづくり、またロイヤルユーザー育成に欠かせないと考えるからだ。

 その参加型の究極の形は、お客様と一緒に商品を作ることではないかと思う。グループインタビューや消費者調査で意見を聞くと、「モニターに参加したい」「化粧品の製造現場を見たい」という声がとても多い。女性誌の工場見学企画が人気なのも、「一度は見てみたい、参加したい」というファン心理があるからだ。

 もちろん、いきなり「モニターになってください」と募集してもなかなかハードルが高い。まずは徹底してお客さまの声を聞くことから始めたい。

 通販の場合は、電話で注文を受ける時にお客様の肌の調子や肌悩み、日常のお手入れ方法などをさりげなく聞くことで、より明確なお客様像が見えてくるはずだ。さらにWebやハガキでのアンケート、アイディア募集などを通して、お客様が自ら参加することに慣れていただく。そのうえで、インタビューや座談会への参加を呼び掛けるというように、段階を踏んで参加しやすい雰囲気を作る。その最終段階が「モノづくり」への参加である。

 商品開発への参加は、まずどんな肌悩みがあるのか、どんな化粧品が欲しいかアンケートや意見を募集することからスタートしたい。そのうえで意見をまとめる段階や、いわゆる企画会議にも参加できる仕組みがあると、より本格的になる。サンプルが出来上がったら、希望者にはモニターになってもらい様々な角度から評価してもらうと良い。もちろんモニターとして試用してもらうためには、様々なハードルもあり、開発作業も工程も増やさなくてはならない。

 しかし、お客様にとっては、「自分が商品開発に意見を言って、開発に関わった」ということにとても満足感を感じてもらえると思う。

 過去に、お客様参加型の商品開発を実施した時に、既存顧客どころか休眠顧客、離脱顧客まで大きな反響があった。アパレル通販では、かなり前からこの手法を採用している例があり、実際に完成した商品をリリースすると、かなり受注率を押し上げた経験がある。事例は少ないが、化粧品通販でも同じ手法を採用したところ、休眠顧客までが大きな関心を寄せてくれた。さらにマス広告まで展開したところ、こちらの反応も通常の販売を目的としたレスポンス率を大きく超えた経験がある。

 また、試用モニターのアンケート結果を踏まえて、発売計画を延期し、処方を変更してリリースしたところ、リピート率が大幅にアップした。その後も関連する商品を開発したところ、顧客単価もアップするという嬉しい連鎖につながった。

 またある会社では、既存顧客に過去に発売した「限定商品」の人気投票を行い、その結果に応じた「復刻版」を作成したところ、大人気になったということも聞いている。

 自分が意見を言って、開発に関わったという意識を持ってもらえれば、発売後の商品への関心は確実に高くなる。モニター体験というコミユニケーションで、お客様に「自分事」と感じてもらえるようになる。

 最近の化粧品は開発から発売までがあまりに慌ただしい。発売時期を後ろ倒しにしても、お客様参加型を貫けば、その後の支持は圧倒的になる。お客様参加型は、1つの「お客様ファースト」の形だと思う。

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プロフィール

執筆者:鯉渕登志子 (株)フォー・レディー代表取締役

1982年㈱フォー・レディーを設立。大手メーカーの業態開発や通販MD企画のほか販促物制作などを手がける。これまでかかわった企業は50社余。女性ターゲットに徹する強いポリシーで、コンセプトづくりから具体的なクリエイティブ作業を行っている。特に通販ではブランディングをあわせて表現する手腕に定評がある。日本通信販売協会など講演実績多数。

http://www.forlady.co.jp/

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