資生堂は、加齢によって深く長くなる“ほうれい線”の形成メカニズムを新たに解明し、その予防・改善に植物の甜茶から抽出したテンチャエキスが有効であることを発見した。
ほうれい線については、これまで加齢による肌のハリや弾力の低下などによる「深いしわ」という考え方が一般的で、皮膚科学的な要因は明確になっていなかった。そこで同社は、シワ以上の難題とも言える“ほうれい線”について、根本的な形成メカニズムを解明し、予防・改善する新たな本格対応技術を開発すべく、研究に着手した。
初めに、同一人で起き上がった状態と仰向けに寝た状態での顔の形態を比較した。その結果、起き上がった状態では“ほうれい線”が目立つ人でも、仰向けに寝た状態では目立たないことから、ほうれい線はしわのように固定化した形態ではなく、頬が重力で垂れ下がることによってできる「境界線」であることがわかった。また、“ほうれい線”は年齢との相関が高く、加齢によって深く長くなることも、今回、初めて検証した。
次に、皮下脂肪の量と頬の垂れ下がりについて着目して研究を進めた。
頬の皮下脂肪が増加すると、脂肪細胞が肥大化するとともに悪性の因子(遊離脂肪酸)を過剰に分泌し、真皮にダメージを与え、これによってダメージを受けた真皮はハリや弾力を失い、頬を支える力を低下させ、“ほうれい線”が深く長くなるという。
これを予防・改善するには、「原因となる脂肪細胞の状態を良好にする(肥大化した脂肪細胞を小型化し健常な状態にする)」ことが重要で、対応する成分として多数の植物抽出エキスをスクリーニングした結果、甜茶から抽出した「テンチャエキス」に優れた効果があることを発見した。
このテンチャエキスは肥大化した脂肪細胞を小型化し、悪性の因子の分泌を減少させ、良性の因子(アディポネクチン)の分泌を増やす。その結果、真皮の状態が良好になり“ほうれい線”の予防・改善が期待できるという。
この研究成果については、日本のほか広く海外にも特許を出願し、今秋発売する新たな抗老化スキンケア化粧品に応用していく。