ネット通販サポート企業、ビジネスモデルの変化で求められる業界特化型支援

カンタンに言うと

ネット通販サポート企業、ビジネスモデルの変化で求められる業界特化型支援

 経済産業省の調査によれば、国内インターネット通販事業のBtoC市場はここ数年、年間2ケタ成長を続け2010年に7兆8000億円規模まで拡大している。驚くべきことに、同市場は2012年度中には約10兆円に達するとも言われている。

 総務省「情報通信白書」が発表した、国内インターネット利用者数は9610万人、普及率は79.1%とされている。そのうち家庭内からの利用は、「電子メールの受発信」が70.1%と最も高く、次いで、「ホームページ(ウェブ)・ブログの閲覧」(63.6%)、「商品・サービスの購入・取引」(60.1%)となっており、年を追うごとにショッピングを目的に利用する生活者の割合が大きくなっている。

 ネット通販市場が急速に成長する中、通販業務をサポートする企業はクライアントにどのようなサービスを提供しているのか。その動向を取材した。

 「10年前はファミコンレベルの技術だったパソコン・情報通信技術が、ITの民主化によって今や目を見張る勢いで発展を続けている」

 取材したある企業では、近年の情報通信技術の発展を「ITの民主化」によるものと分析した。通信技術や端末の高度化、低価格化が進み、誰もが平等に扱えるようになり、インターネット通販がこれまで以上に身近なものになったことが、通販市場の成長を後押しした。

 通販を始めるメリットとしてはまず、販路の拡大によって売上げアップが見込めることだ。自社のECサイトだけでなく、各インターネットモールへ出店することで、店頭では出会えなかった新たな顧客の獲得が期待できる。さらに、24時間365日対応可能な販売窓口の開設も魅力的なうえ、煩雑な作業になりがちな受注、入金管理を自動化することで効率化も図れる。メーカーにとって喉から手が出るほど欲しかった顧客(消費者)情報も、通販のダイレクトなコミュニケーションによって手に入る。トライアルやテストマーケティングも実施しやすい。

 数多くのメリットを享受できる一方、当然、課題もある。

 ECサイト構築はできたものの、その後のサイト運営でつまづく場合も少なくないという。廉価なシステムを寄せ集めて初期の投資を惜しむと運用が煩雑になったり、連携がうまくいかずかえってコスト効率が悪化してしまう。この他にも、ショップ・倉庫・配送といったバリューチェーンの管理、返品処理、PV数やコンバージョン率の拡大、顧客との信頼関係づくりといった様々な問題も乗り越えなければならない。このことからも、ネット通販特有のノウハウ確立が成功には不可欠といえる。

ターゲット別に戦略を変え
より効果的なアプローチを

 では、どのような活動が通販を成功に導くのか。

 ある企業では、ネット通販で成功させたいならリピーターの獲得が最も重要と説く。そしてそのためには、魅力的な商品とビジネスモデル、広告プロモーション、最後に媒体の選定が必要という。

 ネット通販は、テレビ通販と似ているようで、異なるものと認識する必要がある。

 例えば、広告戦略が異なる。ネット通販はトライアル商品から定期購入を促す2ステップの引き上げ施策が重要だが、テレビを見てWebで購入しにきた顧客は、すでに買う意志があるため、最初に本商品を提案しても購入する確率が高いという。また、アフィリエイト広告(成果報酬型広告)も、テレビやチラシで予め商品を認知している顧客層をターゲットとした方が、コンバージョン率がアップする。

 広告などのクリエイティブの面も重要だが、顧客との関係をつくるCRM施策も固めなければならない。

 今回取材した企業の実例を紹介すると、初回無料提供でフォローメールを送るだけで10%の顧客引き上げに成功した。
 メールが他のDMやチラシと違うのはパーミッションの部分で、顧客情報の入力時に、メルマガは登録フォームの受信にチェックをした顧客だけが受け取るが、予め受信にチェックが入った状態で登録フォームが組まれていたとしても、成功率はうまくいっても6割、通常4割以下と低い。

 そこでこの企業では、メルマガの登録をトライアル購入の条件にして、メールパーミッションを100%にした。これによりフォローメールが送れる上、トライアル品購入だけが目的の「サンプルゲッター」を分けることもできるという。

 ネット通販はまだ成長を始めたばかりだ。近年、スマートフォンも普及率が拡大し、市場拡大の要素はまだまだ残っている。

 良いECサイトを構築したからと言って、必ずしも顧客が増えるわけではないことを、通販メーカーは留意しなければならない。

【記事掲載企業一覧】
テクマトリックス(CRMソリューション営業部長 木原満博氏)~コンタクトセンターを中心とした化粧品通販CRMシステムに強み
◎フォー・レディー(代表取締役 鯉渕登志子氏)~女性特有の感性活かし化粧品通販を強力支援
◎NEXDG(社長 青浩司氏)~物流・IT2社の強み活かしフルフィル通販専用システムを提供
◎ワンスター(執行役員 山崎洋志氏)~業界唯一の単品リピートに特化したネット通販支援サービスを展開
◎GMOメイクショップ(営業戦略部 マネージャー 三田村妙子氏)~売りたいを「売れる」に変えるネットショップの開設・運営を支援
◎paperboy&co.(カラーミーショップ事業部 河添寛氏)~月額875円からのECショップ低価格強みに国内最多4万店
◎富士通(コンバージェンスサービス本部戦略企画統括部 田崎裕二氏)~クラウドサービス「肌メモリ」の提供開始新客獲得や顧客との接点づくりに活用
◎TEMONA(セールスコンサルタントグループ リーダー 道明翔太氏)~リピート通販システムの開発によりコスト削減と作業の効率化を実現
◎ビジョナル(専務 佐々木卓氏)~迅速な風評被害・誹謗中傷対策で企業の目に見えない機会損失解消
◎日本通信販売協会(理事 主管研究員 柿尾正之氏)~メディアの変遷に連れ賛助社の役割も激変へ

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