週刊粧業 2013年5月13日号 10ページ
カンタンに言うと
化粧品容器商社のケイズ(本社=石川県金沢市)が、韓国メーカーに偏重していた軸足を置き変えて新しい提案の境地に踏み込んでいる。韓国容器メーカーとの関係性はそのままに、従来よりも多角的に海外容器と生産者を国内へ紹介する業務を強化しているほか、一方で日本メーカーの容器を海外へ発信する役割も厚みを増している。そうした中、本展示会の訴求ポイントは「日本のお客様へ提供できるものをどんどん広げている」(角嶋一幸社長)という現状を視覚化し、ブースの演出と社員から伝えたい狙いがある。角嶋社長に意気込みを聞いた。
韓国容器の提案を踏襲し
広く海外の魅力伝達に力
――さきごろ商品調達で軸足を置き変えました。
角嶋 何時からか、お客様が抱かれる「ケイズといえば韓国容器」というイメージが強くなっていた。それは間違いではないが、一方で実態を言い当てていない。第6回「CITE Japan」を舞台に、広くあまねく「海外製品でこれだけ多彩なご提案ができます」という姿を発信していく。
当社は事業パートナーとして、ヨーロッパやアメリカのほか台湾と香港などの容器メーカーと強い関係性を持っている。彼らとのつながりをさらに活かすことを、本展でお客様に伝えたい。
ケイズは(企業の)行動指針に掲げているとおり、海外製品に大胆な挑戦をして良い物をどんどん日本国内に広げていく。
――来場者が「新生ケイズ」を感じるのはどんな提案メニューですか。
角嶋 スキンケアを軸にしてきた当社が、最近はヘアケアやメークに対応する機会が多くなった。そうした(当社としての)成長分野でお客様のニーズにどう応えているかをわかりやすくお見せしたい。
機能面で付加価値を感じていただける容器や、加飾の面白味に富んだ商材など、お見せしたい製品は非常に多い。
具体的には、まずチューブで斬新な提案を行う。一般的にはコストパフォーマンスが追求されがちなチューブだが、価格だけではなく「ズバリ」で推奨できる機能性を打ち出す。
アプリケーターとして先端に筆やロールオンを配した旧態にない特殊チューブを通じ、日本企業とはひと味違った付加価値を生む海外メーカーの考えを伝達する。
また、(末端で人気の)アイテムに新しい見え方を打ち出すため、売れ筋のオールインワンゲルに高級感を添えられるジャー容器は是非とも感触を試してほしい。
さらに、エンドユーザーの人気を的確に捉えたい部分ではチークの好調な売れ行きに対応するため、スポンジパフをつけて「簡単キレイな時短メーク」をうたえるパウダージャー容器が、本展で目玉の1つになるはずと期待している。
品揃え提案が厚み増す一方で
不変の人材力では深化を追求
――商社として展開する貴社の場合、独占扱いでない容器は競合とどう差異化するのでしょう。
角嶋 お客様と仕入先の双方に対し、人と人のつながりを最重要視する姿勢は永遠に変わらない。
容器と違って視覚に訴えにくいが、これはケイズの持ち味としてCITE Japanで再認識していただきたい狙いがある。
言い換えると(容器メーカーとは異なり)商社の場合、コンシェルジュとなってお客様の目線になり代わった提案ができなければならない。化粧品メーカーさまが販売しようとする中身の特性と売り方を深く理解したうえで、多くの引き出しを持ち合わせた精通者が「こちらが最適です」と指し示せることが当社の身上だといっていい。
一方で、それは口でいうほど容易ではなく、社員には「そうであれ」と口を酸っぱくしてはっぱをかけている。
身上を実現・実行するためには容器を表層から理解していてはダメで、キャップや中栓からポンプまで、(パーツの)一つひとつから成形を考えることがお客様の売り方に合った提案につながる。
「お客様の要望に正確に添う仕事」と、「プロ集団による容器提案」は根本的に違う。
もっとも、身上の実行はそう甘くない。社員にはっぱをかける私自身が、その難しさを一番わかっているかもしれない。
――このほど社内へ中期の経営計画を発表しました。
角嶋 2011年9月の経営統合で一本化した受託製造業が、容器の傘から顔を出しそうな気配が見え始めた。
つまり、かつては私の「音頭」に過ぎなかった容器と中身に一元で対応できる「オールインワン企業」が現実化する可能性が見えてきた。これを失速させないためにはハード面の整備が必要十分条件になってくる。実際の行動として、新工場の建設に向けた用地取得を近いタイミングで行う。用地取得から2年後を目途に、新工場を作る計画を策定した。
風呂敷を広げるだけではなく、経営者としてお客様と社員へ具体性を伴った青写真を示さなければならない。将来像に相応しい受け入れ態勢を整備する。直近ではチューブ充填機を購入するなど、投資で動き始めている。幸い、地の利で追い風が吹き始めている。
2015年春に北陸新幹線が開業すると、現状で金沢と遠隔になっているお客様との距離感が縮まる。陸路と空路が時間・移動コストの両面で肩を並べることは、ケイズにとって社歴のうえで大きな転換点になる。自然災害からの回避など、生産拠点の分散を通じてリスクヘッジを考えているお客様は少なくなく、金沢の地が従来にない脚光を浴びるかもしれない。
この記事は週刊粧業 2013年5月13日号 10ページ 掲載
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