コーセー 小林社長、自身の研さんを通じて新たなコーセー像を自分が創っていく

週刊粧業 2016年4月11日号 8ページ

カンタンに言うと

コーセー 小林社長、自身の研さんを通じて新たなコーセー像を自分が創っていく
 このたび、皆さんが社会に出るにあたり、化粧品という産業を選択されましたが、どんなに世の中が変化しようとも、生活に彩りや潤いを与え、世の中を明るくするというこの産業の担う役割は、今後もますます大きくなるでしょう。

 個人消費の方向性としては、かねてからの「物質的充足から心の満足へ」の流れは、化粧品という「感動や満足を提供する産業」にとってはますます追い風になり、特に高付加価値商材に強みを持つ我々にとっては、責任もやりがいもますます高まるといえます。

 消費市場の現状は、アベノミクスの効果や円安の進展による企業業績の回復、さらにインバウンド効果など日本経済に対する好材料に加え、原油安や賃金の緩やかな改善等の明るい兆しも見えはじめていますが、消費者の「デフレ慣れ」を背景に、前回(2014年4月)の消費増税以降は消費マインドに今ひとつ力強さを欠く状態が長期化しているのも事実です。

 さらに国内では、今後のエネルギー政策や財政再建、一向に歯止めがかからない少子高齢化など、依然として課題は山積していることもある一方、世界に目を転じても、新興国の経済成長の鈍化に加え、テロや軍事衝突への懸念の高まりなども含め、ますます先が見通しにくいという状況に変わりありません。

 ただ、この先行きの不透明さ、不確かさ、すなわち「高リスク社会」の状況は、「全ての物事はこれまでの延長上にあるわけではない」と考え、逆に「自分自身を変えるチャンス」とすべきです。

 同様に、直面する問題や課題は「制約」と考えるよりもこれまで抱えていた問題が顕在化したのだととらえ、企業活動や事業構造を抜本的に見直す機会として「ピンチをどうチャンスに変えていくか」と発想すべきです。

 当社は、消費行動や競争環境が激変する中で、より強靭な企業となるべく取り組んできた「改革」が経営成果として実を結びつつあります。

 私が9年前に社長に就任して以来、「現場力、スピード、シンプル化」をモットーに、我々のもつ本来の強みをより一層研ぎ澄ませつつ、変えるべき点は思い切って見直し、社員全員の「意識」と「行動」も含め改革を進めてきました。

 そしてその成果がここ3期連続の急速な業績回復となって表れています。しかし、競争の舞台が「世界」に移りつつあることも踏まえると、これまで以上により一層「グローバル」に視点を拡大する必要もあり、昨今のインバウンド消費に象徴されるように、もはや国内市場と海外市場を区別せず「ボーダーレス」に市場全体として捉えるべきでしょう。

 そして消費・購買行動の変化、たとえばネット社会への対応や、流通の垣根が取り払われつつある状況への対応なども含め、これまでの枠組みを超えた発想によるこれまでにない新しい取り組みにも積極的にチャレンジしていく必要があります。

 さて、我々コーセーグループは、ちょうどこの春で創業70年を迎えました。そこで、この節目を契機に、さらにグローバルに存在感を拡大していくために、これまで以上に「グループとしての力を結集」し、さらに「多様な価値観に応えること」を目指して、「United & Diverse」を行動指針に掲げています。

 皆さんは、このようにあらゆる意味での「転換の局面」に我々の仲間に加わってくださることになります・

 そんな皆さんには、次の2つのことを期待したいと思います。まずは「斬新な発想とチャレンジ精神」です。

 若い皆さんだからこそ、これまでの習慣や常識にとらわれない斬新な発想を活かしてほしいと思います。我々は業界ではチャレンジャーという立場でありつづけるべきであり、皆さんはそのチャレンジ精神を率先して体現する存在であってほしいと考えています。

 一般に、企業が進化(=成長と発展を)していくには、「それまでの蓄積や経験を生かした、これまでの延長上にある『連続的な成長』」と、「何らかのイノベーションによる革新や転換など、従来の延長上にはない『非連続の発展』」の両方が必要であるといわれています。

 そして日本の企業は、一般に「改善」に象徴されるように前者は得意ですが、後者が苦手だといわれており、現在のような転換の局面においては後者が必要とされています。本日から我々の一員となる皆さんは、現時点では「経験はゼロ」です。

 しかしこれは弱点ではなくて、先ほど言ったように、前例・習慣や常識にとらわれない強みであり、むしろ経験を積んだ先輩よりも斬新な発想ができるかもしれません。是非、これを期待したいと思っています。

 もうひとつは「自分を磨く」ということです。当社に憧れて入社し、愛社精神をもって働くことも大切ですが、それはコーセーという看板やブランドに頼ることとは違います。まずは自分自身を磨くことを通じて、新たなコーセー像を自分が創っていくという気概を持ち、業務に取り組んでほしいと思います。

 これらを常に胸に抱きながら、今日からコーセーの一員として、我々と一緒に新たな未来を切り開いていこうではありませんか。
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