日本コルマー、ODMの可能性を広げて業界底上げ

週刊粧業 2019年5月13日号 4ページ

日本コルマー、ODMの可能性を広げて業界底上げ
 国内化粧品OEM/ODM業界の最大手である日本コルマーは、国内5研究所・7工場体制で、スキンケアからメークアップ、ヘア&ボディケアに至るあらゆる化粧品の企画・設計、処方開発、生産までワンストップトータルサービスの提供を実現する。

 第9回化粧品産業技術展では、エビデンスデータを付与した新製品を含む25SKUの製品を展示し、処方技術・製品開発力をアピールする。

5研究所・7工場の国内体制を
整備・充実、海外も新工場建設へ

 ここ数年は訪日外国人客を中心とした日本製コスメの需要拡大があるものの、国内は人口減少にともない化粧品業界も長期的には市場縮小を避けて通れない。神崎友次会長は、「開発・製造におけるアウトソーシングの需要拡大を促進し、化粧品OEM市場のパイそのものを広げていくことが肝要」と述べ、同社も開発力・生産能力の強化を推進している。

 2014年から17年にかけて、新たに4工場(静岡工場/結城工場/伊賀工場/広島工場)を稼働して生産能力を拡大し、国内7工場体制とした。新規工場はいずれもM&Aなどにより既存工場を取得し、早期稼働によりスピーディに生産能力の向上を図った。

 人手不足に悩む企業が多い中、従業員も引き継ぐことでスムーズな稼働につなげており、16年に稼働した結城工場(茨城県)は、増築に合わせて設備も増強したことで、既に主力工場の1つに成長しているという。今後は、伊賀(三重県)と広島の2工場の設備体制の強化・整備を進めて生産能力をさらに拡大する。

 神崎会長は、「オープンイノベーションの時代を迎え、ブランドメーカーからは、製造面だけでなく、当社の処方技術・製品開発力にも関心を持っていただけている」と、製品の企画・設計から入りこんで対応するODM事例を積み上げていることに触れ、「研究開発力の強化」もOEM市場活性化のポイントに挙げた。

 昨年は、大阪市内に評価試験やモニター試験や新規原料の開発を行う「スキンリサーチセンター」を開設して国内5研究所体制を確立した。また、オープンイノベーション拠点に位置づけ、次世代に向けた基盤技術の開発を推進する「横浜研究所」は、移転拡大し、研究所内で処方開発から有用性評価試験まで一貫して行える体制を整えた。

 また、成長領域に位置づける海外事業では、中国に蘇州コルマーと杭州コルマーの2拠点で工場を展開する中、新たに蘇州コルマーに第二工場を建設し、3工場体制で中国OEM市場の開拓を進める。

 ASEAN市場開拓拠点に位置づけて今春着工したベトナム工場は、「今期(20年3月期)中に竣工する予定」で、日系企業のASEAN市場進出を開発・製造面からサポートする体制が整う。

 「日本の高度経済成長期がそうであったように、経済成長率が高まり、一人あたりのGDPが伸びてくると、女性は美容やファッションに自己投資するようになる。中国、東南アジアといった成長マーケットでOEMの受け皿を広げていく」(神崎会長)



消費者起点の製品開発を推進
自社開発原料の高機能性も披露

 展示会ブースでは、スキンケアやベースメーク、ポイントメークを中心に開発製品25SKUを展示する。

 マーケティング部の別所侑香氏は、「近年は『消費者の立場に立った製品開発』を推進し、外部機関と連携しながら、一般消費者を対象にしたモニター調査やアンケート調査から消費者のインサイトを探り、インサイトを起点に製品開発を行っている」と話す。

 会場では、異なる二つの世代の女性が求めるエイジングケアを引き出して開発したリッチクリーム、大気汚染物質など環境ストレスにアプローチするパウダーファンデーションを展示。「どんなまつ毛の方にも満足頂ける万能タイプのマスカラなど『大人女子』をターゲットにしたポイントメークアイテムも紹介する」(別所氏)。

 また、「横浜研究所」と「スキンリサーチセンター」での研究成果もアピールする。

 産学連携でスタートした「横浜研究所」は、次世代に向けた処方の基盤技術開発と、その技術の化粧品製剤への応用を推進しており、「展示会で取り組みを紹介するのは初めて」だという。現在は、他の研究機関と共同で新たな技術開発にも取り組んでおり、会場内では、「乳化技術や経皮吸収カプセルなど最新の処方技術・製品開発を紹介する」(別所氏)。

 「スキンリサーチセンター」では、有用性評価・安全性試験に加え、新規原料の開発に取り組んでおり、自社開発原料として「キクバヤマボクチエキス」や「ノリウツギエキス」など7品目をラインナップしている。会場には、それぞれの開発原料に確認された機能性を活かした処方サンプルを用意した。展示製品に対しては様々な評価試験を行っており、データと照らし合わせながら使用感を実感してもらう。

 「海外の展示会では、モニター評価などのデータも含め、紹介した製品がそのまま採用されることも増えてきている。国内展示会においても、お客様からのあらゆる要望に対し、コンセプトづくりから評価試験まで一緒に取り組める、さらに充実したワンストップトータルサービスを紹介していく」(別所氏)
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