ポンプ式⻭みがき粉は次のトレンドとなるか?

週刊粧業 2020年6月15日号 4ページ

カンタンに言うと

  • 韓国ではすでにロングセラー、中国では?
  • 浸透率10%、成⻑期を迎えた中国ポンプ式⻭みがき粉市場
  • ポンプ式⻭みがき粉のメリットは「利便性」「衛⽣的」「効率性」
  • ポンプ式⻭みがき粉が越えるべきハードル
ポンプ式⻭みがき粉は次のトレンドとなるか?
韓国ではすでにロングセラー、中国では?

 韓国のポンプ式⻭みがき粉市場は2013年LG生活健康の「ペリオポンピング⻭みがき粉」発売から始まった。LG⽣活健康では2013年~2018年の5年間で、およそ1500万個のポンプ式⻭みがき粉を売り上げたという。

 特に2018年には「ヒマラヤピンクソルトポンピング⻭みがき粉」が発売されたため、前述の「ペリオ」とともに⻭みがき粉全体の売上をけん引するかたちとなった。

 さらに2018年7⽉〜2019年6⽉の1年間で1000万個の売上を記録した。こうしてポンプ式⻭みがき粉は、名実ともにロングセラー商品として認知されるようになった。

 LG⽣活健康は2013年、「ペリオポンピング⻭みがき粉」の韓国発売からほどなくして中国市場へと進出、ソン・ジュンギをモデルに起⽤し、注⽬を集めるのに成功した。

 それに次いで2018年3⽉に韓国で「ヒマラヤピンクソルト⻭みがき粉」が発売されると、同年夏には該当商品のチューブタイプとポンピングタイプが中国のワトソンズ(Watson’s)に⼊荷されるようになった。このようにポンプ式⻭みがき粉は、中国市場での新たな成⻑可能性を模索し始めている。

 2019年第4四半期、Tモール/タオバオ内におけるポンプ式⻭みがき粉の売上1位ブランドはGuangdong Kanwan(⼴东康王)傘下のHosjamである。 Hosjamはポンプ式⻭みがき粉市場シェアの37%を占めており、2位のDencare(市場シェア9.7%)に⽐べても⼤きく差を広げている。

 チューブタイプ⻭みがき粉市場をリードしているColgate、Sakyもポンプ式⻭みがき粉を発売し、LG⽣活健康は6位を記録した。(MeasureChina、2019年10⽉〜12⽉データ)



浸透率10%、成⻑期を迎えた中国ポンプ式⻭みがき粉市場

 2019年第4四半期、Tモール/タオバオ内の⻭みがき粉の売上⾼は6.2億元。そのうち、ポンプ式⻭みがき粉の売上⾼規模は6000万元である(浸透率9.6%)。浸透率10%突破を新規市場の成⻑シグナルと⾒なせば、現段階は今後のポンプ式⻭みがき粉市場の成⻑潜在⼒が判断できるいいタイミングだと⾔える。


ポンプ式⻭みがき粉のメリットは
「利便性」「衛⽣的」「効率性」

 MeasureChinaではRED(⼩紅書)内のポンプ式⻭みがき粉に関連する4000余りの投稿をテキストマイニングによって分析。その結果、中国消費者がポンプ式⻭みがき粉を購⼊する理由を⼤きく「利便性」「衛⽣的」「効率性」の3つに分類した。

1) 利便性
 チューブタイプの⻭みがき粉は「キャップを開ける→チューブを絞る→キャップを閉める」という3ステップが必要である。ところが、ポンプ式⻭みがき粉は⼀回プッシュするだけで済むのでポンプ式⻭みがき粉利⽤者の30%が「早くて便利」であることを購⼊の理由として挙げている。

2) 衛⽣的
 チューブタイプの⻭みがき粉はキャップをしっかり閉めないと⽔分が⼊る可能性があり、これは中⾝の変形、カビ繁殖の原因になる。⼀⽅、ポンプ式は使⽤時のみ中⾝が出る仕組みなので、より衛⽣的である。そこで全体投稿の約15%が「衛⽣的」という理由でポンプ式⻭みがき粉をお勧めしていた。

3) 効率性
 ワンプッシュで毎回適量を出すことができ、⼒加減で使⽤量を調節できるため、無駄を最⼩限に抑え、経済的でもある。



ポンプ式⻭みがき粉が越えるべきハードル

 ポンプ式⻭みがき粉は、チューブタイプとは異なる形状の容器を使⽤しているのが最も⼤きな特徴である。しかし、この容器の違いというのが、ポンプ式⻭みがき粉の唯⼀の⻑所ともいえる。Perioe、Colgate、Saky等、ほとんどのブランドはチューブタイプとポンピングタイプを同時に販売しているため、⻭みがき粉の成分および効果がポンプ式⻭みがき粉の決定的な購⼊決定要因にはならない。

 ポンプ式⻭みがき粉が機能⾯でアピールできる競争⼒を持てないとチューブタイプを凌駕することは難しいといえる。チューブタイプの⻭みがき粉に集中している需要がポンプ式⻭みがき粉へ移⾏する構造的な転換が⾏わないと、ポンプ式⻭みがき粉市場の成⻑潜在⼒は限界を迎えるに違いない。

 YNBY、DALIE、Crest、White&White(LION)、Zhonghua等、チューブタイプの⻭みがき粉の⼈気ブランドも、ポンプ式⻭みがき粉市場への進出には消極的である。ポンプ式⻭みがき粉は消費者へ選択の幅を広げることは可能かもしれない。しかし、選ぶべき決定的なメリットが⽋如しているのがこれからポンプ式⻭みがき粉が越えるべきハードルとなっている。

 今後、さらなるブランドがポンプ式⻭みがき粉市場に参⼊することで、新たな成⻑の機会も増えると予想される。ポンプ式⻭みがき粉が2020年の次なるトレンドになることを期待する。

【メジャーチャイナ】(記事提供元)
中国EC・SNSのビッグデータを収集し、ビジネスインサイトを提供するデータ分析会社。中国で取引される6800万個のコスメ商品の売り上げ/価格/効能/原料等を属性別にトレンド分析したデータ、レポートを提供。Unilever,AMOREPACIFIC,LG生活健康, Johnson&Johnson等のグローバルブランド、証券アナリスト等が本社のサービスを利用中。
URL: https://www.measurechina.ai/ja/ E-mail: contact@measurechina.ai
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