ポーラ、製剤の安定性を損なわずに有機酸の配合に成功

粧業日報 2020年7月17日号 4ページ

カンタンに言うと

  • カプセル化により効果を持続的に発揮させることが可能に
ポーラ、製剤の安定性を損なわずに有機酸の配合に成功
 ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業は、なめらかな角層に整えたり、表皮を活性化したりする作用がある「有機酸」の一種であるグリコール酸をカプセルに閉じ込めることにより製剤の安定性を損なわず配合することに成功した。

 肌表面の成分と反応し徐々に有機酸を放出することから、効果を持続的に発揮することが期待できるという。

 今後、同技術はポーラ・オルビスグループの商品に活用される。

 有機酸には、角層の細胞間脂質を整え保水力を上げる、柔軟性を高める、角層細胞の接着剥離を促し不要な角層を排出するといった作用が報告されている。

 これらの作用により、ローション、ミルク、クリームなどの水分や油分を角層中に導き、ハリ弾力のある角層へ導く土台を作ることが期待される。

 同社はグリコール酸に、表皮細胞の活性化に関わる遺伝子の発現を高めることを見出していたが、肌には外部環境の変化に耐えられるよう中和機能が備わっており、肌に塗ってもしばらくすると中和され、働きが失われてしまうことが課題となっていた。

 また、グリコール酸は、他の成分を析出させたり製剤の安定性を損なわせたりすることから、これまで化粧水などへの配合は困難だった。

 そこで今回は、酸が他の成分と反応することがないよう、グリコール酸をカプセルに閉じ込め、肌に触れることで放出する製剤の実現を目指した。

 その結果、製剤中で安定させながらも汗や皮脂では変化する成分でグリコール酸をコーティングした新カプセルを開発するに至った。

 肌上でグリコール酸が放出されるか確かめるため、カプセル水溶液に人工汗液を少しずつ添加し、pHの変化を調べたところ、汗の添加に伴い少しずつ酸性になったことから、徐々にグリコール酸がカプセル外に出ていくことが示された。このことから、この化粧膜は数時間にわたりグリコール酸を肌に供給し続け、角層・表皮を良い状態に保つことが期待される。

 以上のことより、「製剤の安定性を損なわずグリコール酸の化粧品への配合できるだけでなく、他の酸性成分への応用もできる」(同社)という。
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