資生堂は、男性の肌は女性よりも抗酸化力が弱く、酸化ストレスの影響を受けやすいことを発見した。また、緑茶抽出液、椿種子抽出液に酸化ストレスを抑制する効果があることを確認した。
これまで、一般的に男性は女性よりもバリア機能が低く、皮脂量が多いなど、女性と異なる特徴をもつことが知られていたが、男性の皮膚生理の特徴は十分には解明されていなかった。
今回同社が初めて明らかにした男女の抗酸化力の違いは、皮膚生理の違いを生む根本的な原因の一部であり、不足している抗酸化力を高めることで、肌そのものを内側から健やかに整え、ストレスに負けない美しい肌に導ける可能性がある。
今後、長年にわたり年代・性別ごとの皮膚生理や嗜好性について研究した成果を活用し、同社だからこそできる、男性に特徴的な皮膚生理に応じた新しいアプローチを提案していく。
同社が20~30代男女を対象に実施した調査では、肌の水分量には大きな差が見られない一方で、男性は女性と比較して紫外線ダメージを受けやすく、バリア機能が弱いといった特徴があることがわかった。
また、男性は女性よりも毛穴が多く、皮脂量が多い傾向にあることもわかった。このように、性別ごとに異なる皮膚生理の特徴をもつことが少しずつ明らかになってきているが、男性の皮膚生理の特徴は十分には解明されていなかった。
今回の研究では、男性は女性と比較して抗酸化力が弱く、酸化ストレスの影響を受けやすいことを発見した。さらに、肌の老化に関係する炎症指標を調べたところ、微弱な炎症の指標が女性よりも高いことがわかった。
これらは、男女の皮膚生理の違いを生む根本的な原因の一部であると考えられる。
これに、男性はスキンケア・サンケア意識が女性よりも低い傾向にあることなど、生活習慣の違いも加わり、結果的に男性は女性よりも老化や肌トラブルを引き起こしやすくなっていることが示唆されるという。
また、不足している抗酸化力を補うため、有用な成分を探索した結果、緑茶抽出液、椿種子抽出液に酸化ストレスを抑制する作用があることを確認した。これらの有用成分は、肌のストレス耐性をサポートする効果が期待される。
12月2日に開催された「男性肌研究に関する新知見」をテーマにしたオンライン技術セミナーにて、資生堂グローバルイノベーションセンター 鈴木牧人研究員は、「乾燥や肌あれなどの肌悩みに対応したケアに加えて、こうした根本的なアプローチをすることは、紫外線などの外界からのダメージに負けずに健やかで美しい肌を目指すためにとても重要だ。今後、得られた知見を応用し、男性に特徴的な皮膚生理に応じた新しいアプローチを提案していく」と語った。