阪本薬品工業、高い抗菌力と安定供給を実現した天然抗菌製剤を提案

C&T 2023年9月15日号 34ページ

阪本薬品工業、高い抗菌力と安定供給を実現した天然抗菌製剤を提案
 阪本薬品工業では、環境に配慮したサステナブルな原料の需要拡大に伴い、CITE JAPAN 2023で改めて提案した天然抗菌製剤「SYプランテックスKNP」への引き合いが高まっているという。

 同社が開発したSYプランテックスKNPは、キク科カワラヨモギの頭花より抽出・高度精製して得られたエキスに、フトモモ科チョウジのつぼみより抽出・脱臭精製して得られたエキスと食品添加物グリセリン脂肪酸エステルを最適なバランスで配合したものだ(図1)

 その他の配合原料は、水と植物由来のブチレングリコール(BG)で構成されている。ISO16128の自然由来指数が1.0で、COSMOS認証と中文INCIを取得し、外原規に適合している。



 SYプランテックスKNPの特長は、真菌にも細菌にも高い抗菌効果を発揮し、微生物に対して幅広い抗菌スペクトルを有する(図2)。また、合成防腐剤と同等以上の抗菌効果を示すほか、抗酸化作用やリパーゼ活性阻害作用が認められている。

 「CITE JAPANでの反響を受けて、今後は当社の本業であるグリセリンとプランテックスKNPを組み合わせたベース処方のチャレンジテストを社内(アプリケーションラボ)で行う体制を強化し、幅広いスキンケア製品で実施していく」(同社)

 SYプランテックスの主な特長としてはこのほか、高度な精製技術による品質管理の徹底と安定供給が挙げられる。

 同原料に配合されるカワラヨモギエキスは、カワラヨモギの頭花よりエタノール溶液で抽出して得られたエキスを独自の方法により高度に精製したもので、色や臭いの成分を大幅に取り除き、抗菌成分であるカピリン(Capillin)の濃度を高めることで、化粧品に配合した際の色や臭いの影響を最小限にした。

 また、SYプランテックスKNPに配合しているチョウジエキスは、チョウジよりエタノール溶液で抽出して得られたエキスを精製したもので、抗菌主成分のオイゲニイン(Eugeniin)などのポリフェノール成分を多く含み、オイゲノールなどの臭気成分と非水溶性成分を取り除いている。

 SYプランテックスKNPの安定供給に向けた取り組みでは、国内7カ所の農家とカワラヨモギの契約栽培を行っている。

 公益社団法人 東京生薬協会の会員企業でもある同社によると、国内で流通しているカワラヨモギはほとんどが中国産で、品質のばらつきや産地のトレースが困難といった課題がある。

 また、カワラヨモギに含まれる抗菌成分のカピリンは抗カビ活性を示すことで知られるが、産地や種類によって含有量に差があるという。

 そこで、各農家が安心して栽培に取り組めるよう、同社が策定した高濃度のカピリンを含有するカワラヨモギの栽培マニュアルに基づいて生産を行っているほか、天災による不作時には栽培にかかる最低経費の費用の一部負担などをサポートしている。

 このようにして栽培されたカワラヨモギは、製品ロットから産地までのトレースが可能で、安心・安全な製品の提供を可能にした。また、「環境・人にやさしい製品開発」のもと、循環型社会の実現を目指し、製造工程で発生する生薬残渣は自然への負荷を低減するため肥料などにしてリサイクルに努めている。

 「植物エキスは一般的に色や臭いに対する課題が多いが、SYプランテックスKNPは植物エキス特有の臭いが低減されている。また、カビに有効な成分を特定し、製造ロットごとに成分を全て分析・管理しているためロットブレがない。高い抗菌力に加えて、トレーサブルな原料でSDGsのトレンドにも対応できる点がCITE JAPANで支持をいただけた大きな要因だろう。生薬栽培は休耕田や耕作放棄地の有効利用だけでなく、就労機会の創出にもつながっており、SYプランテックスKNPを通じて、今後も安定した雇用の創出で地域経済の活性化に貢献し、契約農家の方々と共存共栄により発展していけるような形を目指していきたい」(同社)
ホーム > 化粧品業界人必読!週刊粧業オンライン > 阪本薬品工業、高い抗菌力と安定供給を実現した天然抗菌製剤を提案

ライブラリ・無料
ダウンロードコーナー

刊行物紹介

定期購読はこちら
お仕事紹介ナビ

アクセスランキング

  • 日間
  • 週間
  • 月間
PDF版 ダウンロード販売
化粧品マーケティング情報
調査レポート
株式会社矢野経済研究所
pagetop