エステティック業界は現在、全体的に厳しいですが、その中でも比較的安定しているサロンは物販売上が高いサロンだと言えます。業界を取り巻く環境の変化やクレジット等の問題で、契約単価、契約率の下落、新規客の減少などが大きな原因です。
そして女性誌等を見ていても、数年前まではエステサロン特集などが多かったにもかかわらず、最近は家でできるマッサージ等ホームケアのページが増えています。もちろん不況ということも影響しているとは思いますが、お客様自身の意識がホームケアに向かっているとも言えると思います。
私が親しくさせていただいているある有名なサロンのオーナーも3年前くらいまではサロンの取材が多かったですが、最近は家でのマッサージの取材が多いとおっしゃっていました。その方は年間50~70誌くらいに露出している方なので、全体的な傾向と言えると思います。
化粧品の市場規模が2兆円以上あるにもかかわらず、エステティックの物販市場は1千億円程度です。もっとエステサロンで化粧品が売れてもいいはずです。もちろん今までも物販に強いエステサロンは存在していましたが、平均すると全体の売上構成比の10%くらいが平均です。私も以前は20%を1つの目安としていましたが、今では最低30%、できれば50%を目指して物販強化をしています。それだけ役務で売上を安定的に作っていくことが難しくなっていると思います。
エステティックの物販は今まではエステティシャンのセールストークに頼って販売してきたのが現実です。しかしこれでは限界があります。今こそ、化粧品小売店を参考にする時期が来ているのではないでしょうか。
榎戸淳一
株式会社ES-ROOTS代表取締役社長、一般社団法人エステティックグランプリ元理事長
新卒で船井総合研究所に入社し、様々な経験を積んだ後に「エステティック業界の健全化、イメージ回復」に使命感を感じ、船井総研内で自らエステティック業界のコンサルティングを立ち上げ、業界内で多大な実績を残す。現在では、株式会社ES-ROOTSを設立し、東京都目黒区に「fruitsroots(フルーツルーツ)」というオーガニックコスメ&エステティックサロンを経営している。www.es-roots.co.jp また、業界誌「週刊粧業」「セラピストBEAUTY」「ヌーヴェルエステティック」の連載、業界イベント「ビューティーワールド」「ダイエット&ビューティー」での講演など、活動範囲は幅広い。
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