2013年11月末に中国が防空識別圏を設定したことで、日中関係に再び緊張が走りました。2012年の反日デモ以来、ビジネス面における回復を実感していた矢先だっただけに残念ではありますが、日中両政府及び米国のとるスタンスから鑑みると、今後もこうしたことが度々起きる可能性は低くないと思われます。
この状況下にあってビジネスを続けていくためには、政治情勢の動きに注意するのと合わせて定点観測により中国の消費者心理をャッチアップしていくことが重要です。
今回のコラムでは2013年11月末に実施した中国人女性(上海・北京・大連・成都・長沙在住、25~35歳、月収6000元前後)に対するインタビューよりポイントとなる点をいくつかお伝えします。
①関心度は?=今回の防空識別圏設定について「深刻な問題だとは思うが、私自身は興味がない」「知ってはいるけど話題にはならない」と、関心は高くありません。「政治のニュースはコントロールされているから何が真実かは分からない。どうせなるようになるだけだから」という発言もあり、これは彼女達の本音をよく現していると思います。
②日本に対する感情は?=日本政府に対しては「中国政府の方が正しい」「問題の根本原因は日本にある」と厳しい意見が多い反面、日本人や日本製品に対しては「優しくて正直な人が多い」「品質が高い」と変わらず良いイメージを持っており、日本政府とは切り分けて認識されているようです。
③日本製品を買い続けますか?=しかし、万が一有事が発生した場合、恐らく日本製品不買の号令がかかるものと思われます。その時どうするかという問いに対しては「他にも良い物がある場合は買わない」「日本メーカーのシャンプーをずっと使っている。もう習慣になっているのでこれは買い続けると思う」という回答があり、すでに良さを実感してもらえていることが分岐点になりそうです。逆に問題が発生する前に消費者の信頼を得ておけばその後もリピート購入してもらう可能性は十分あるでしょう。
今後も日中情勢は変化し、それに伴い消費者の心理も多かれ少なかれ変わっていきます。定点観測を継続し、その変化をこのコラムを通して皆様にフィードバックしていきたいと思います。
沖野真紀
中国女性市場専門調査会社 (株)ブルームス代表取締役
定性調査に特化したインサイトマーケティングを得意とする。また、日本とアジアのメディアで美容通としても活躍中。その知見と現地調査でアジア女性の美容ニーズの分析に努めている。
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