第9回 休眠顧客の掘り起こし

 通販会社のほとんどが、休眠顧客リストを多く抱えています。この自社の休眠顧客への対応を戦略的に取り入れていくことで売上アップにつなげていくことができます。特に自社のこと、商品のことを知らない消費者に広告を使って商品を案内するよりも、1度でも商品を使ったことのあるお客様にアプローチをするほうが、反応率は高く、費用対効果からみても、有効であると言えます。

 休眠顧客とは、企業ごとに定義が異なりますが、だいたいは6カ月以上商品の購入のないお客様などと決めているケースが多いです。

 休眠顧客の掘り起こしを行う際には、未購入期間1年~3年のリストを目処に次のような休眠顧客の分類を行います。1回商品を購入して休眠になった「新規休眠客」、2回以上商品を購入して休眠になった「リピート休眠客」、長期にわたって頻繁に購入をしたが休眠になってしまった「優良休眠客」といった感じです。

 特に掘り起こし施策の対象となるのは、「リピート休眠」「優良休眠」になります。なかでも「優良休眠」からの反応は高い傾向にありますので、始めはこのリストに絞って施策を行っていくことをお勧めしています。具体的な施策としては、DM送付や、手紙、電話でのアプローチになります。

 ある化粧品通販企業A社は、「優良休眠」約500人に対して手書きのハガキを送付しました。結果10%以上ものお客様が復活するというとても高い数字を出しました。手紙の内容はというと、特別な割引などを設けずに、お肌の状況をお伺いする程度のごくごく普通の内容です。そこにかけた費用はハガキ1枚分ですので、十分に元は取れ、その後自社の施策として取り入れて行くこととなりました。

 また、ある化粧品通販企業B社は、「優良休眠」へのお手紙の反応が良かったので、「リピート休眠」へもスタッフ皆で、お手紙を送ることにしました。優良休眠客と比べると当然ながら反応率としては低くなりましたが、それでも費用対効果からすると十分に合っており、継続して休眠施策の検証と実行を行っております。

 化粧品通販企業C社は、今までほとんど休眠顧客へのフォローを行っておりませんでした。そこで、未購入期間1年~3年のリストをピックアップして、DMの送付を試みたところ、15%近くの反応率がありました。この結果を見て、経営者の方は、こんなにも貴重な財産を持っていながら活用をしてこなかったことに対して反省をしておられました。

 多くの企業が、休眠リストのランク分けをすることなく、一斉にDMを送るなどしております。その結果、1回しか購入をせずに休眠客となったリストの比率が多く、反応率も下げてしまい、費用対効果が悪いという判断をし、継続した施策にならないケースが多くあります。しかし、今回の事例のように休眠顧客リストの中のランク分けを行い、反応が取れる優良休眠から、リピート休眠へと順に結果を見ながら、掘り起こし対象を広げていけば、重要な施策の1つと成りえます。

 この機会に、自社の休眠リストのランク分けを行い、1人でも多くのお客様が再び商品を購入するよう取り組んでみてはいかがでしょうか?

この記事のお問い合わせはこちら

船生千紗子

(株)通販総研 化粧品専門コンサルタント

通販に特化した広告代理店を経て、株式会社通販総研に入社。現在、化粧品通販新規参入支援、化粧品通販企業向けに新規顧客獲得、リピート顧客育成による売上アップ支援を行っています。クライアントの強みを伸ばし、着実な成長を促すことをモットーにしています。

https://www.tsuhan-soken.com/

一覧に戻る
ホーム > 連載コラム > 第9回 休眠顧客の掘り起こし

ライブラリ・無料
ダウンロードコーナー

刊行物紹介

定期購読はこちら
お仕事紹介ナビ

アクセスランキング

  • 日間
  • 週間
  • 月間
PDF版 ダウンロード販売
化粧品マーケティング情報
調査レポート
株式会社矢野経済研究所
pagetop