第32回 ブランド力を築き上げるセオリーとそのメリット・デメリット

【週刊粧業2017年5月21日号6面にて掲載】

 先日弊所のお客様と電話をしていて、次の新商品について効果的にブランド力を築き上げていくために、どういう商標を使うのが有効かという質問を受けました。

 いろんな切り口がありますが、そのときは既存語と造語のどちらがよいかという論点で説明しました。新商標考案の一助になるかと思いますので、その観点から考え方を整理・ご紹介したいと思います。

 既存語を商標として採択しますと、その言葉自体の持つイメージが湧くのでブランドイメージの伝達に寄与します。

 たとえば、ダイハツ工業㈱の「COCOA」という車がありますが、ココアの甘くてほっとする、かわいいイメージが伝わり女性心をくすぐるよい商標だと思います。ただ、「COCOA」のように、一般に良いイメージが浸透している言葉は複数の企業が採択したがるものですので、先行登録とのバッティングが生じやすく、「COCOA+〇〇」といった結合商標も含め商標登録上は注意が必要です。

 また、同じ既存語であっても、化粧品について「ホワイトニング」など説明的な言葉を商標として用いたとすると、美白効果についてダイレクトに伝えることにはなりますが、そもそも商標として認識されず消費者に覚えてもらいづらいですし、文字だけで登録して保護することも困難です。

 それでは、これまでにない言葉だとしたらどうでしょうか。極端な例ではありますが、ドイツのBMW社の商標「BMW」はドイツ語社名の略称という由来こそあるものの、「BMW」という言葉自体は既存語ではなく、意味を持たないものです。

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髙橋 伸也

フルブルーム国際商標事務所 所長弁理士

早稲田大学政治経済学部卒業。日本でも数少ない商標専門事務所を経営。化粧品・日用品業界をはじめとした中小・ベンチャー企業の商標出願支援と外国・国際商標出願支援を得意としている。商標・ブランディングの専門家として数々のメディアに寄稿している。

http://www.fullbloom-tm.jp/

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