第65回 LTV向上のためにできること

【週刊粧業2019年1月14日号8面にて掲載】

 多くの化粧品通販企業では、新規獲得の効率が昔と比べ悪くなっているという課題を抱えています。この傾向は、今後ますます顕著になっていくと考えられます。その理由としては、化粧品通販事業への新規参入が増えたこと、さらに競合が増えたことで限られた広告枠の獲得の競争が激しくなっていること、表現の規制が年々厳しくなっていることなどが挙げられます。

 こうした中、化粧品通販事業を安定した形で継続して行っていくためには、ますます既存客の育成が重要になっていきます。

 そこで、重要になっていく指標にLTVがあります。LTVとは、顧客生涯価値という風に訳されますが、わかりやすく言えば1人のお客様が企業にもたらす売上(利益)=価値となります。LTVを上げるためには、継続率を上げること、クロスセル、アップセルにより年間の購入金額を上げることが考えられます。

 継続率を上げるために有効な手段としては、定期コースがあります。ただ、その仕組みだけではLTVを上げるには十分ではありません。商品を気に入り、企業への信頼があってこそ、定期コースも有効に働くためです。

 化粧品通販企業A社は、商品を購入したお客様全てに手書きのメッセージカードを必ず同梱します。スタッフは注文が入ると、顧客管理画面を見て、新規客か既存客かを見極めます。さらに、購入履歴や住んでいる地域を確認しながら顧客一人一人に向けたお礼のメッセージを書きます。このような手間のかかる取り組みが顧客との信頼づくりに役立ち、高い継続率に繋がっています。

 化粧品通販企業B社は、お客様が商品を買い続けるためには、その商品を使い続けることでどのような未来がもたらされるかを知ってもらうことが大切であると考えました。そこで、定期購入者には、変化の兆しに気づいてもえるような内容のツールを作り、回を追って丁寧に説明しています。

 クロスセル、アップセルは、商品を購入した早い段階から積極的に行っていくことが大切です。

 化粧品通販会社C社は、メイン商品の次に買ってもらいたいサブ商品を決め、商品購入後の早い段階から、積極的に商品提案を行っています。具体的には、2品で一緒に使うとさらに効果を引き出すことができるという内容の説明チラシや、2品一緒に使っているお客様の体験談ツールを同梱しています。このような取り組みにより高い2点購入率を達成したことで、LTVアップへとつながりました。

 安定した通販事業を継続していくためには、今まで以上にその企業の底力が試されていくでしょう。定期コースという仕組みに頼っていた企業は、LTVを上げるために、どんなことができるのかをお客様視点でも考えてみてはいかがでしょうか?
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船生千紗子

(株)通販総研 化粧品専門コンサルタント

通販に特化した広告代理店を経て、株式会社通販総研に入社。現在、化粧品通販新規参入支援、化粧品通販企業向けに新規顧客獲得、リピート顧客育成による売上アップ支援を行っています。クライアントの強みを伸ばし、着実な成長を促すことをモットーにしています。

https://www.tsuhan-soken.com/

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