まず化粧品売場の利用意向(月1回以上)についてたずねたところ、化粧品専門店は26.7%、百貨店は32.3%、ドラッグストアは89.3%、スーパーマーケットは45.6%、通信販売は71.2%となった。利用頻度では、ドラッグストア、通信販売が1位、2位となっているが、この並びはシンクタンク大手の富士経済が発表した「2010年の化粧品国内市場の販売チャネル別動向」の業態別売上高ランキングとも一致する。
20〜30代女性にとって、インターネットやモバイルを駆使して化粧品を購入することは、もはや当たり前の行為となっており、通信販売の利用は今後、ますます増えることが予想される。
また、使用中の化粧品の価格帯で2000円未満が多かったことを踏まえると、化粧品専門店や百貨店で購入できる商品は限られてくるため、そうした店舗では、低価格志向の消費者をも惹きつける、その店ならではの魅力を知らしめる施策がますます必要となってくるだろう。
化粧品の利用頻度をたずねる調査では、化粧品専門店と百貨店のヘビーユーザーは2%程度、月1回のユーザーは3割程度であることがわかった。ともに一元客には敷居が高いと感じられている業態であり、最初の一歩のきっかけづくりが活性化のカギと言える。
店舗業態で圧倒的な集客力を誇るドラッグストアは、月1回のユーザーは約9割と極めて高いが、ヘビーユーザーについては2割強にとどまる。頻繁に足を運びたくなるような呼びかけや売場の鮮度を高める取り組みなど、地道な集客策で来店頻度は高められる余地がある。
スーパーでは、食料品や衣料品などとのスペース競争でH&Bの存在が薄まってしまう傾向にあり、最低でも週に1度は足を運んでいる店舗の割に、月1回以上利用している人は5割に満たない。ドラッグストアと同額で提供できるようなアイテムの露出をもっと増やせば、購入意向はもっと高まりそうだ。
通信販売は、唯一、無店舗型の業態だが、集客力はドラッグストアに限りなく近いことがわかった。よく利用すると答えたヘビーユーザーに限っては、23.1%とドラッグストア(23.3%)と遜色ない数値を示している。
4月以降、大手制度品メーカーによる通販市場への参入が話題を呼んだが、化粧品の購買チャネルとして無視できないほどに存在感が増していることは、利用頻度の調査を紐解くだけでも窺い知ることができる。
カウンセリングのニーズについても調査した。それによると、購入時に美容部員や店員にアドバイスをしてもらいたいと思ったことが「ある」人は約7割もおり、スキンケアでは「使い方」(84.6%)、「効果・効能」(58.1%)、メークでは「似合う色」(75.3%)、「使い方」(65.9%)、「テクニック」(64.9%)のアドバイスを欲していることがわかった。
一方で、売場でのカウンセリングについて、「商品を買わなければいけないというプレッシャー」「新製品の押し付け」「他人に見られて恥ずかしい」とマイナスイメージを挙げる人が4〜6割程度も存在する。
このような「してほしいこと」と「カウンセリングに対するイメージ」とのギャップを埋めるためには、利用者が欲しているアドバイスを的確に行う以外に、どうやら突破口はなさそうだ。
店主からは「いろいろなアドバイスをしてあげた途端に店に来なくなった」というフレーズを聴く機会が少なくないが、その人その人に合った的確なアドバイスを提供することがその店の信頼性を向上させ、足繁く通う女性を増やすことにつながっていくのではないか。
前編の調査結果をみてもわかる通り、クチコミの意見に重きを置く消費者が増えたことは事実だが、それだけでは「化粧品の使い方」や「自分に似合う色」「テクニック」は理解できない。カウンセリングを通じてしか知り得ないことを地道に伝えていくことが、まさに今、求められている。
【調査概要】
調査協力:株式会社マクロミル
サンプル抽出方法:株式会社マクロミルが保有するネットモニタからランダムに抽出
対象エリア:全国
調査対象者:20~39歳の女性
対象者割付:女性/20~24歳、女性/25~29歳、女性30~34歳、女性35~39歳(各103サンプル)
【PDFダウンロード】「化粧品アンケート調査」はこちら
この記事は週刊粧業 掲載
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