ドラッグストアの化粧品販売、スタイルの確立へ模索つづく

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ドラッグストアの化粧品販売、スタイルの確立へ模索つづく

 ドラッグストアという業態が広く認知されるようになって20年弱が経過した。しかし、店舗数と売上規模が拡大の一途を辿ってきたこれまでの歴史は、もう過去の遺産と受け止める必要があるかもしれない。業界を取り巻く環境は、それほど変化している。一昨年に施行された改正薬事法はその象徴で、企業再編や業態の差別化を進める動きがこれまで以上に活発化している。化粧品においても、独自の販売方法を確立すべき時代に突入したといえそうだ。

化粧品販売は1.4%増、店舗の大型化すすむ

 日本チェーンドラッグストア協会(通称=JACDS)が2010年度(2010年10月14日~2011年1月21日)に実施した調査によると、ドラッグストアの全国推定売上高は5兆6308億円となり、2009年度の前回調査から3.5%の伸びを示した。伸長率は鈍化傾向にありながらも、堅調な売上推移を見せている。

 全国総店舗数は、前回調査から288店舗増加し、1万6259店であることがわかった。2009年に施行された改正薬事法により医薬品の販売スタイルが大きく変化したことと前後して、企業間のM&Aが加速し、吸収合併や店舗の統廃合が相次いだ。2010年10月には、ココカラファイン(横浜市)がアライドハーツHDと合併したことで、マツモトキヨシHD(千葉県)、スギHD(愛知県)に次ぐ売上高3000億円規模の大所帯が出現した。

 このため、企業数は減少傾向にあるものの、店舗数は2000年度の調査開始以来、10年続けて増加している。店舗規模では、売場面積150~300坪クラスが全体の35.4%を占めている。昨年度から3.0P落ち込む一方、300坪以上の大型店が2.8P増加して13.0%にまで達した。近年は、食品や日用雑貨の陳列を充実させて幅広い顧客層を取り込もうとする企業・店舗が増えており、そうした動きが調査結果に表れた格好だ。次項掲載のアンケート調査の中で、「今後の重点立地」を尋ねたところ、「郊外単独店」が最多得票を集めているのもこのためだ。

 冒頭で紹介したドラッグストアの総売上高をカテゴリー別で見ると、化粧品は1兆3385億円となり、前回調査と比較して1・4%増と増収路線を堅持したが、成長率は医薬品や日用雑貨などのカテゴリーの中で最も低い数値となった。商品別売上構成比も同0.4P減の23.8%へと低下している。

化粧品の勢いに陰り、独自の販売スタイルが必要

 本紙の推計では、2010年の化粧品販売高は前年比0.4%減となり、2年連続のマイナス成長を余儀なくされた。

 このうち、ドラッグストアは前年比1.2%増の9382億700万円で推移。既存店1店舗あたりの販売高が前年割れしつつあるものの、出店拡大によって前年実績を上回っている状況だと結論づけている。業態別の販売高シェアでも0.5P増の27.2%へと底堅い動きを見せた。

 ただ、その勢いにも陰りが見え始めている。これまで有店舗業態では唯一、成長チャネルとして拡大路線をひた走ってきたが、リーマンショックやその後の東日本大震災による消費マインドの冷え込みなどにより、低価格化が進行。中価格化粧品の購入層が低価格志向を強めている事態が浮かび上がっている。

 アンケート調査でも、「主要カテゴリー別売上伸び率」で、「一般化粧品」がプラス成長を果たす一方、「制度化粧品」は4%ほど減退した。

 こうした事態を打開するには、中価格帯化粧品のテコ入れが不可欠といえそうだ。それは各社にとって共通した問題意識となっている。アンケート調査で「今後、強化していきたい商材」を尋ねたところ、「中価格帯スキンケア」と回答した企業が35.7%にのぼった。

 また、価格の二極化に対応するためには、これまでのセルフ一辺倒では太刀打ちできなくなるとの事情も抱えている。差別化された高額商材やPBのほか、独自のサービスを打ち出す必要性がありそうだ。

 アンケートでは「課題」「重点施策」も調査したが、それぞれ「接客技術」(19.0%)、「接客技術の強化」(36.8%)がトップ回答となった。カウンセリング機能を高め、顧客をリピート化させようと各社が模索している様子が伝わってくる。

 ドラッグストア各社が、差別化策の一環として化粧品に特化した業態を展開する動きは、ますます強まっている。

 今回取材した大賀薬局(福岡市)の「ライフストリーム」やマツモトキヨシHDの「H&B Place」のほか、PBの販売に注力している企業には基礎化粧品の「COLORADO(コロラド)」を展開するゲンキー(福井県)や、スキンケア商材の「VIVCO(ヴィヴコ)」を抱えるココカラファインなどがある。

 また、化粧品を主力商材の1つに据えた業態「アインズ&トルペ」を展開するアインファーマシーズ(札幌市)も、近い将来にPBを開発する意向を示している。

 今回のアンケート調査で印象的だった結果の1つに、強化したい顧客層の変化が挙げられる。50~60代のシニア層を取り込みたい各社の意向が浮かび上がったのだ。高齢化が一層進行する中で、ドラッグストアは化粧品販売においても新たな顧客層としてシニア世代をターゲットに据えている。

※ドラッグストアの化粧品販売最前線コチラ

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