週刊粧業 2012年9月3日号 1ページ
週刊粧業が晩夏初秋に2週にわたって打ち出す看板的な特集企画「化粧品受託製造業」が、2011年よりも取材対象量をボリュームアップし計40社の有力企業を掲載して完結することができた。
毎回、業容や業歴が抜きんでた大手各社をはじめ、もはや「新興」から「元気な中堅」へステップアップした印象が強い成長勢力など、本年も紙面を飾った各社の経営状態は盤石であることが概ねで共通している。また、既存・新規ともに海外へ舵を切る傾向が加速するなか、多くの企業が商機と見据えて設備投資を積極化している。
さらに商品トレンドを見ると、末端に先行する形でエコサートやオーガニックに傾注する様子が2011年よりも濃厚になったと見てよさそうだ。
大枠として受託製造業界の全体像を計るうえで、やはり古参や大手の業績は重要な指標だということができる。
最大手の日本コルマーは、前期に目標の一里塚だった売上高200億円越えを果たし、210億円を狙う今期も第1四半期が計画に沿った進捗を見せているほか、東洋ビューティーも2012年4月期に「通過目標」と位置づけた売上高100億円突破を実現した。
こうして大手が売上規模を拡大していることは、「牙城」を形成して後続の伸長を阻んでいるかといえばそうではない。
「先頭集団に追いつけ」を旗頭に成長を志す中堅企業も、きっちりと結果を残す格好で業績を伸ばしている。
業界の注目株となって久しいサティス製薬は、2012年9月期売上高を前年同期比50%増とし、伸び盛りといえる現況を山﨑社長が「申し分ない結果」と評した。
これと同様に、さらに上を目指そうと躍起な中堅勢力も自社の土俵で全力を発揮し、業績の成長カーブが緩む気配を見せていない。ミリオナ化粧品は今期の売上高で対前年比11%増を見通すほか、フェイスラボも同15%増収の推移を見せ、トレミーも2012年5月期を売上げで11.2%増と2ケタ成長で締めた。
もちろん、各社の業績が好調な背景には理由がある。
上場企業の日本色材工業研究所は押し上げ要因について、奥村社長が「異業種参入の受け皿となるのは有力な手段」と明言しているほか、ミック・ケミストリーも「新規先が実力を蓄えて売上げを伸ばし始めている」(小野沢常務)と同様な趣旨を好調要因に挙げている。
さらに、ファンケル傘下のニコスタービューテックは「異業種メーカーとの新規契約が数例決まった」(舩山工場長)ことを増収要因とし、今後も「狙いどころの1つ」として有望視している。
一連の好調業績を反映し、受託製造各社は積極投資による設備増強や海外を含む拠点網の拡大に余念がない。増収を内部留保に転化せず、顧客企業の満足度向上に向けようとする経営判断が多数派を占めている。
エフシー中央薬理研究所は、段階的に本社工場の増築に取り組んで効率化を進める一方、海外ではタイ工場で施設拡張と倉庫増設を実施するなど積極投資の構えを見せる。
やはり近しいアジア圏では、ヘアケアに強みを見せるアリエが10月にフィリピンのセブ島で初の海外工場を始動させる。
またMBLは6月、関東内で実施した工場移転の際に敷地面積で旧態比5.5倍という選択をするなど、生産量の拡大を念頭に置いた経営判断で将来を見据えている。
このほか、館はそのままでも製造ラインに新たな息吹を吹き込む投資の例が少なくない。
容器商社とOEMが統合したケイズでは、中身の受注量増加に応じ製造機器の増強を視野に入れているほか、ポイントピュールは「今期の機械投資額は3600万円」(大道社長)と具体的な数字を挙げて設備強化の必要性を強調している。
一方で、こうした製造設備や生産拠点が送り出す製品のトレンドはどうか――。この点、ここ数年に増して安心・安全やナチュラル志向がいっそう強まった印象といっていい。
マーナーコスメチックスはオーガニック市場の成長を見据え、既に国際認証を取得したうえで末端の盛り上がりに備えているほか、この分野で先行したミロットも「申請をどんどん出す」(伊藤工場長)など火付け役へ名乗りを上げている。
一方で、製品や業務インフラという視点とは根本から異なり、今回は従来型なOEMの“殻”を破ろうとする企業姿勢の一端が見えたことが本年の特徴だったといえる。
「黒衣」の立ち位置を否定するブルーム・クラシックの田部社長は、「自社ブランドを持たなければ残れない」という構えを見せるほか、やや異なる趣旨でポイントピュールは「当社が売れ行きを示してOEM先へ納得感を与えたい」(大道社長)との考えを示している。
関連キーワード
この記事は週刊粧業 2012年9月3日号 1ページ 掲載
■特集/化粧品受託製造業 ◎日本色材工業研究所~スキンケアとUVが国内事業を牽引、仏子会社もメーク受注増で黒字化 ◎東洋新薬~化粧品ビジネス第2幕へ新技術が起爆剤で活性化 ◎コスメサイエンス~今期売上高20数%増で巻き返しへ〝小さなマーケット〟の開拓に意欲 ◎ナユタ~設備を強化した透明石けんで新規開拓、ゲルを発展させたクリームの提案強化 ◎トレミー~海外と新規受注増で2ケタ増収、九州工場稼働...
バラ売り
【週刊粧業】2025年化粧品・日用品業界トップの年頭メッセージ
バラ売り
【週刊粧業】2023年度国内化粧品売上高上位30社
バラ売り
【週刊粧業】2024年週刊粧業選定・化粧品日用品業界10大ニュース
バラ売り
【週刊粧業】サプライヤー(OEM/原料/容器)18社・2025年新春トップインタビュー
バラ売り
【週刊粧業】2024年化粧品業界 基礎データ
バラ売り
【週刊粧業】2025年化粧品・日用品業界トップの年頭メッセージ
バラ売り
【週刊粧業】2025年 資生堂 藤原 憲太郎社長 新春インタビュー
バラ売り
【週刊粧業】2025年 コーセー 小林一俊社長 新春インタビュー
紙面を探す
紙面を探す
レポートを探す
無料でダウンロード
カタログを探す
無料で見る
週刊/毎週月曜日発行
化粧品、日用品、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした生産・流通産業界の総合専門情報紙。
季刊/年4回
化粧品、日用品、アクセサリーなどの業界別の市場動向をはじめ、戦略、流通、経営、マーケティングを扱う情報専門誌。
週刊/毎週月曜日発行
化粧品、トイレタリー、石鹸、歯磨、日用品に関する情報の速報版。業界のエグゼクティブ必読の情報紙。
週刊/毎週月曜日発行
昭和33年に創刊された、わが国初の訪問販売化粧品業界の専門情報紙。