トキワ、開発型OEMメーカーとして中身と容器の設計・開発を強みに

カンタンに言うと

トキワ、開発型OEMメーカーとして中身と容器の設計・開発を強みに

 トキワは開発型OEMメーカーとして、化粧品の中身(処方)の研究・開発から、容器の開発・設計、製造まで社内一貫体制を整えている。研究開発の核となるグローバルテクノロジーセンターには、約70名の研究員が在籍。特許技術・製法の有効件数は140件を越える。生産工場は国内3拠点に置くほか、中国江蘇省に生産工場・昆山永青化妝品有限公司(KTC)を2003年より運営している。KTCでは昨秋、上海に分工場を設立し、グローバル対応を強化した。CITE Japanでは「和」をテーマに、日本の美を表現したブースを出展。展示する開発製品も全て和をモチーフにしたデザインを取り入れ、グローバルニーズに対応できる技術と品質をアピールする。

常に新しさを見出す開発に注力し、
業界のトレンドを創出

 同社は「クライアントの要望をヒントに進める共同開発」と「社内プロジェクト開発」の2通りの方法を軸に、新製品を生み出している。

 「当社独自の新規性のある製品開発に加え、現行品の改善・改良も重視して取り組み、新しい提案につなげてきた。これにより、眠っている需要を掘り起こすことができたと感じている」(同社)

 近年は「既存スタイルからの脱却」を大きなテーマに開発を進めている。

 近年の開発製品には、パフ一体型チークや筆・コーム一体型ジェルアイライナーなどがある。容器と中身を一緒に開発できる同社の強みを象徴するアイテムで、「女性開発者ならではのアイデアからプロジェクトを立ち上げ、完成した製品も多い」(同社)という。

 マスカラは現在、ボトル容器に内容物を入れ、キャップ側に筆を付属するセパレートタイプが主流だ。そこで同社は「脱ボトルマスカラ」をテーマにプロジェクトを立ち上げた。

 セパレートタイプのマスカラブラシは、横長で顔の横からつけるため、「利き手側と反対側を塗る際、逆手になり使いづらい」、ブラシが下まで届かず「最後まで使い切れない」、使う度に中身が空気に触れ「固まりやすい」といった不満があった。そこで、後端を回すと先端のコームの間から内容物が出てくる一体型を開発した。空気に触れないため、固まりにくく、最後まで使い切ることができるのが特徴だ。

 またリップでは、繰り出す量が少なくてもしっかり色づく、柔らかい塗り心地の「リップジェラート」や、濃淡色(2色)を一体化した2分割の芯を採用し、2色同時に描けて立体的な口もとがつくれるタイプを導入した。2色同時に描けるアイデアはアイカラーにも応用。アイシャドウでは1回でまぶたにグラデーションが作れるタイプを導入するなど、短時間で立体的な表情を作れる「時短メーク」を具現化するアイテムを揃える。

 直近では、これまでにない使用性を訴求した「ジェルダイヤルペン」を開発した。弾性体のチップから中身が吐出する製品で、チップ形状と中身の粘度の繊細な調整が必須であり、100種以上の試作を繰り返し、このほど製品化に成功した。

 「メークの中でもポイントメーク関連は、中身と容器のマッチングが重要で、まだ改善点は多い。今後も不満点の改良・改善に努め、新しい提案につなげていく」(同社)

多色・3Dパウダーなど独自技術を
駆使し、日本の伝統的な美を表現

 「和」をイメージしたブースでは、「ビジュアル面で遊び心も取り入れた」と語るように、壁面を飾る装飾品にも化粧品の製法技術を用いる。また、製品のデザインは全て和柄に統一。どこか懐かしさを感じる和風の製品を通して、新たな発見をしてもらうという試みもみられそうだ。

 容器類では、江戸切子や漆塗りなど日本の伝統工芸技術の再現性を追求した。また、規格型のペンシル類は、先端部分のバリエーションを比較できるように一同に揃えて展示する。

 中身でも日本らしさを訴求し、フェースパウダーでは「グローバルニーズとして高まっている」という多色パウダー製法や3D(立体)パウダー技術を応用し、日本の四季を感じる植物や生物を描いた。

 近年ニーズが高まっているエコをコンセプトにしたアイテムには、飲料や食品などに使用されているパウチ容器を応用し、中身の残量を低減したグロスやマスカラを揃えた。

 「当社は中身・容器の開発から製造まで1社で完結できることが強みだが、その実現には現行品の問題点を拾う営業、その問題点改善に向けた研究開発、そして最終的に量産化できる体制を整える工場の部署間の連携が不可欠になる。近年の開発製品を振り返ると、営業と開発、そして製造の連携が今まで以上に深まってきたと感じている」(同社)

 今回のテーマ「和」には、日本の技術・品質をアピールする「和」とともに、各事業部の取り組みの足し算により新商品が生まれる「和」も意図しており、部署間の連携を育んでいる「輪(わ)」の掛詞にもなっている。

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